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コンセプト特徴 戦略 デッキレシピ カード解説スペルカード サポートカード イベントカード 弱点 応用リーダーの変更(但しレシピの大幅見直しが必要) コメント コンセプト 死価「プライス・オブ・ライフ」と守備陣形で相手のイベント・特殊能力を縛る。 「イベントなぞ使ってんじゃねぇ!」 「特殊能力だと?貧弱すぎるわ!」 特徴 イベントや特殊能力を頼りに戦うデッキの行動を大幅に制限する。 特に対鈴仙は相手のコンセプトを全否定する勢い。 高い耐久力を盾に、じわじわと相手を追い詰める。 戦略 序盤は攻撃を控え、守備陣形を張り、「プライス・オブ・ライフ」で受ける。 呪力に余裕ができたら、幽霊+L能力やシエスタで耐えながら、 「プライス・オブ・ライフ」で受け、そして殴る。以上。 デッキレシピ キャラクターカード L Lv2 小野塚 小町 Lv1 十六夜 咲夜 Lv1 紅 美鈴 スペルカード…22枚 2x 黒い春告精 3x 奇術「ミスディレクション」 2x 華符「破山砲」 3x 投銭「宵越しの銭」 3x 霊符「古き自縛霊の目覚め」 3x 霊符「何処にでもいる浮遊霊」 3x 死神「ヒガンルトゥール」 3x 死価「プライス・オブ・ライフ」 サポートカード…11枚 3x 未練がましい緊縛霊 3x 浮かばれない地縛霊 2x 彼岸帰航 3x 守備陣形 イベントカード…7枚 2x お迎え体験版 2x 無間の道 3x シエスタ カード解説 スペルカード 死価「プライス・オブ・ライフ」(以下「POL」) このデッキのコンセプト。守備陣形と合わせることで、戦闘中のイベント・特殊能力使用に体力2点を要求する。 「避けなければ迎撃で2点、パターンで避けても2点…あれ?」と相手が困ること請け合い。 「追加代償(使用):体力1」はパチュリーや超天才永琳、ゴリアテアリスにも刺さる。 攻撃3迎撃2、拡散命中5に防壁1と、スペックも十分。殴るときは、幽霊がいないと打点が下がるので注意しよう。 溜まったイベントを一斉放出される危険性が高いため、中盤以降にこれ以外のスペルを使うことは稀。 その他の受けスペル 投銭「宵越しの銭」 :貴重な呪力1。発狂後はさらに優秀だが、このデッキで発狂ブロックすることは稀。 奇術「ミスディレクション」 :貴重な高速1。ハトブレ現世斬対策。命中補正を振らせて守備陣形で刺そう。 霊符「何処にでもいる浮遊霊」:呪力2迎撃2&お迎え体験版で落ちた幽霊の回収用。低速1が光るのはごく稀。対八重霧? 霊符「古き自縛霊の目覚め」 :貴重な通常弾。上記3スペルの拡散集中4が当たらないときに。幽霊が十分なら攻撃も。 その他の攻めスペル 華符「破山砲」 :相手の重量級サポート剥がし&「POL」が当たらない時に。 死神「ヒガンルトゥール」:「POL」が有効でないor間に合わないときの殴り合いに。 黒い春告精 :本デッキの最大命中スペル。「POL」が決死される相手に。 サポートカード 守備陣形 このデッキのコンセプトその2。こちらは充填時のイベント・特殊能力にも反応する。呪力3と軽いのも良い。 侵略で割られないし、神隠しでも消費はお互い呪力3手札1で、相手に1ダメと悪くない。ただし改竄だけはカンベンな! パチュリーや超天才永琳、ゴリアテアリスに無効なのはバーンダメージゆえ致し方なし。 未練がましい緊縛霊 浮かばれない地縛霊 呪力2でお手軽&強力な妨害サポート。「POL」の打点アップや、L能力のトリガー、無間の道のコストにも必須。 高打点スペルには緊縛霊を、防壁を構えた受けスペルには地縛霊と、相手の利点を潰すように張れるとGood。 彼岸帰航 カウンター用シーン。とは言え相手の場に幽霊が多いに越したことはないので、有効に働く場面も多い。 相手にスペルサポートが多いなら、無間の道や霊符「古き自縛霊の目覚め」が輝くかも。 イベントカード お迎え体験版 「POL」や守備陣形のサーチをしながら、幽霊を落として霊符「何処にでもいる浮遊霊」で拾う、と強力なサーチカード。 相手がスペルやサポートを破壊するデッキなら、その回収用にとっておこう。 無間の道 このデッキは相手の場の幽霊が少なくても問題ないので、割と安心して使っていける。 シエスタと共に、相手の詰めずらしが主な仕事。 シエスタ 相手の詰めずらしに加えて、殴れないターンの有効活用ができる強力イベント。 回復で2回使うと、相手はイベント、能力封印状態で実質30超の体力を削る羽目に。 但し、終盤の手札代償1はかなり重いので注意。 弱点 イベント・特殊能力に頼らずに「POL」を回避(or決死)またはダメージ0にできるデッキには打つ手がない。 また、常時型の能力やサポートで強化するタイプのデッキも苦手。 つまり両方に該当するアリスは本当に苦手。 速攻相手もかなり分が悪い。「POL」が引けていれば詰めが遅れるが… また多少の耐性があるとは言え、特定のスペル頼みのデッキなのでスペル除去にも弱い。 そもそも「POL」と守備陣形を引けないと弱い。 応用 霊撃 離剣の見 泣きながら回避イベントを使ってきた相手を打ち落とす非情の一手。 詰めにも使える霊撃と、攻防に命中補正が大きい離剣、環境と好みで。 黄震脚 拡散命中5を決死される微回避環境なら。「POL」頼みのデッキなので妨害サポート対策にも。 螺光歩 信仰2が多い世の中にオススメの1枚。誘導弾にはできないので注意。 雪 ここまでやるともはや「相手のイベント・特殊能力など無かった」。 ただ、さすがにこちらへの影響も大きい。シエスタなんて手札2枚。 リーダーの変更(但しレシピの大幅見直しが必要) 美鈴L 例えばこんな感じ 黄震脚の命中+1&防壁1と、螺光歩の迎撃+1&誘導弾は大きい。L能力も重いが優秀。 相手が紅魔舘Lだと小町以上に避けられない子になってしまう。 コメント 需要があるかは不明ですが、とりあえずつけてみました。 名前 コメント
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加入条件 始めに選択、もしくは紅魔館15階で撃破。 初期装備:ナイフ、マフラー 能力 HP LP AP1 AP2 AP3 腕力 器用さ 知力 敏捷 体力 精神 霊力 耐性 防御 備考 Lv.1 34 24 1 0 0 6 10 6 7 6 5 0 電気△ - 人間特効の対象 Lv.99(V1.01) 2500 1999 12 8 6 65 100 60 70 60 55 0 アビリティ アビリティ名 Lv. OP 効果 属性 依存パラ 範囲 溜め 消費呪力 消費AP 条件 備考 1 2 3 キック 1 1 格闘技 腕力 敵単体 0 0 × × × なし 2 1 敵単体 0 0 × × × キックLv.1 3 2 敵単体 0 0 × × × キックLv.2 真空飛びヒザ 1 1 格闘技 敏捷 敵単体 0 0 ○ × × キックLv.1 2 1 敵単体 0 0 ○ × × 真空飛びヒザLv.1 3 2 敵単体 0 0 ○ × × 真空飛びヒザLv.2 ジャンピングフラッシュ 1 1 格闘技 腕力 敵単体 0 0 × ○ × キックLv.1 2 1 敵単体 0 0 × ○ × ジャンピングフラッシュLv.1 3 2 敵単体 0 0 × ○ × ジャンピングフラッシュLv.2 身を守る 1 自身 0 0 × × × 真空飛びヒザLv.1ジャンピングフラッシュLv.1 ナイフ 1 剣技 器用さ 敵単体 0 0 × × × はじめから 2 1 敵単体 0 0 × × × ナイフLv.1 3 2 敵単体 0 0 × × × ナイフLv.2 パリィ 1 1 接触攻撃を回避 剣技 自身 0 0 ○ × × なし 2 1 接触攻撃を回避 自身 0 0 ○ × × パリィLv.1 3 2 接触攻撃を回避 自身 0 0 ○ × × パリィLv.2 切り裂き 1 1 剣技 腕力 敵単体 0 0 × ○ × なし 2 1 敵単体 0 0 × ○ × 切り裂きLv.1 3 2 敵単体 0 0 × ○ × 切り裂きLv.2 ピアス 1 1 体力ダウン効果 剣技 器用さ 敵単体 0 0 ○ × × なし 2 1 体力ダウン効果 敵単体 0 0 ○ × × ピアスLv.1 3 2 体力ダウン効果 敵単体 0 0 ○ × × ピアスLv.2 ていねいに扱う 1 武器の耐久度が下がりにくくなる パッシブ 切り裂きLv.1ピアスLv.1 奇襲回避 1 1 パッシブ なし 2 1 奇襲回避Lv.1 3 2 奇襲回避Lv.2 バックアタック回避 1 1 パッシブ なし 2 1 バックアタック回避Lv.1 3 2 バックアタック回避Lv.2 エンカウント回避 1 1 パッシブ 奇襲回避Lv.1バックアタック回避Lv.1 2 1 エンカウント回避Lv.1 3 2 エンカウント回避Lv.2 逃げる 味方 0 0 × × × エンカウント回避Lv.1 奇襲サポート 1 1 パッシブ なし 2 1 奇襲サポートLv.1 3 2 奇襲サポートLv.2 忍び足 1 視覚に頼る相手に気づかれなくなる パッシブ 奇襲サポートLv.1 隠れ身 1 聴覚に頼る相手に気づかれなくなる パッシブ 奇襲サポートLv.1 鍵開け 1 1 パッシブ なし 2 1 鍵開けLv.1 3 1 鍵開けLv.2 4 1 鍵開けLv.3 5 2 鍵開けLv.4 あきんど 1 店の商品を値切る 鍵開けLv.3 ルナクロック 1 1 剣技 器用さ 敵単体 0 0 × ○ × ナイフLv.2 2 1 敵単体 0 1 × ○ × ルナクロックLv.1 3 2 敵単体 0 2 × ○ × ルナクロックLv.2 ソウルスカルプチュア 1 1 剣技 器用さ 敵単体 0 0 × × ○ 切り裂きLv.2 2 1 敵単体 0 1 × × ○ ソウルスカルプチュアLv.1 3 2 敵単体 0 2 × × ○ ソウルスカルプチュアLv.2 咲夜特製ストップウォッチ 1 1 ディレイ効果 敵単体 0 0 × ○ × パリィLv.2 2 2 ディレイ効果 敵範囲 0 1 × ○ × 咲夜特製ストップウォッチLv.1 咲夜の世界 1 1 時間を停止させる 自身 0 1 × × ○ 咲夜特製ストップウォッチLv.2 そのターンの敵味方の行動を強制終了し咲夜のみ(Lv.)回選択スキルを繰り返す 2 1 時間を停止させる 自身 0 2 × × ○ 咲夜の世界Lv.1 3 2 時間を停止させる 自身 0 3 × × ○ 咲夜の世界Lv.2 解説 『時を止める』ってこういう事だよね。最強で瀟洒な従者 本作最強の呼び声高い完全無欠のメイド長。 全ての剣技が器用さ依存であり、その器用さはボーナスを振らずとも最高100を誇る。 ステータス面だけでも十分強いのだが、最強といわしめる最大の理由は固有技の「咲夜の世界」。 自分以外の敵・味方のそのターンの行動を強制終了させ、 次のターンは自分だけ行動し、かつアビリティレベル分の回数だけ複数回攻撃するというチートすぎるスペル。 つまり敵よりも早く行動できるならAPの続く限り完封できてしまうということである。 しかもAP・呪力は連続攻撃しても1回分しか消費しない。 AP消費がかぶらない「ルナクロック」を連射するのがもっともコスト・威力のバランス的に良い。 場合によっては一撃の火力の高い「ソウルスカルプチュア」だけで十分だったりするのだが…… ちなみに「咲夜の世界」の例外として、輝夜などごく一部の敵は「咲夜の世界」中に行動が可能である。 ただしこれは敵として出現した場合のみであり、輝夜が味方にいても「咲夜の世界」中には行動できない。 また敵が行動するのは1回である。さとりの「想起」で「咲夜の世界」が発動した際には、咲夜は行動可能となる。 育成 素直に器用さに特化して間違いなし 主力となる剣技全般が器用さ依存なので、攻撃面は最初から器用さに絞ろう。 器用さと敏捷を+20もしてくれる足装備、裸足(てゐドロップ)を入手すると ただでさえ高い器用さにさらに磨きがかかり、一撃の威力が文字通りケタ違いのものになる。 さらにメカニカルアームと稲妻マフラーを装備させ、レミリアからグングニルを預かり、隊列を ●□● □□□ □◎□ □□□ ●□● ロマサガ3でいう鳳天舞の陣の中心(◎の部分)に咲夜を配置すると・・・ これが咲夜の世界Lv3なら3連発である。 他の仲間はただ見てるだけで大抵のボスが沈んでいくだろう。 「ご覧の有様だよ!!」 神奈子の「メテオリックオンバシラ」等、たまに「咲夜の世界」に連携して割り込んでくるものもあるが、 先制を取れればほぼ全てのボスは何も出来ずに倒されることになるだろう。 これに決闘歌を重ねがけするとさらにダメージが伸びるから恐ろしい。 『自重する咲夜さん』でいこう! 「咲夜の世界」をあえて封印する(つまり”縛る”)場合、防御面に気を使わなければいけない。 HPは高いのだが体力・精神はやや低い水準なので、前衛に据えるなら防御面の底上げは必須だろう。 HPとLP、体力、精神といった所に満遍なくBPを振って補ってあげよう。 斬耐性を持つ敵に対しては敏捷を上げて「真空とび膝蹴り」を習得するのが有効といえば有効だが、 器用さがメキメキ伸びるため成長するにつれて剣技でも普通にダメージが通ってしまうので あえて斬耐性持ち対策として格闘技を習得する必要性は薄い。 アビリティはナイフ・ピアスを先にLv3にしてから ルナクロック・ソウルスカルプチュアといったスペカ技を取得するといい。 ルナクロックは接触攻撃ではないので接触攻撃に対して反撃のある敵対策にもなる。 ピアスは体力ダウン効果があるのでボス戦で開幕2~3回当てておくと後に使うスペカ技のダメージが伸びる。 「ていねいに扱う」は一見いいアビリティのようだが、序盤は敵から頻繁にナイフなどが手に入るうえ 最終的には耐久無制限の「グングニル」の性能が非常に高いので、これさえあればどうとでもなるのが現実。 主人から拝借してメインウェポンとしておこう。 「よいか、我々はインペリアルクロスという陣形で戦う」 先頭に立ってパリイしまくる咲夜というのも、キャラ的には魅力である。 攻撃面ばかりがクローズアップされがちだが、紅魔館プレイをする場合はレミリアとの前衛2トップになる事が予想されるので案外悪くない。 これで美鈴がいれば紅魔館勢揃いだったのだが・・・。
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《咲夜特製ストップウォッチ》 通常魔法 このターンを終了する。 「だいじょうぶ。また会えますって」 開設2008年3月6日。当カード実装2011年10月30日。 咲夜さんCGIの長い歴史の末、最後に、本当に最後に実装された通常魔法。 ターンを終わらせる効果を持つ。 当CGIの長い決闘の歴史の最後を華やかに飾るカードである。 実装、決闘、サロン、全てを終わらせる魔法。 けど、いつか皆、きっと巡り会える。 だから、だいじょうぶなのです。
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咲夜8 うpろだ589 今思えば、私は嵌められたのだと思う。 「咲夜さん、これを」 それは普段着ているようなメイド服でもなく、柔らかくさらりとした手触りの光沢のある黒のドレスだった。 普通の女の子なら一度は憧れる代物だ。 身体のラインを強調するような黒のそれは太腿から深いスリットが入っていた上に、胸も必要以上に強調されるようなデザインになっていて、 それを着るには大分勇気を必要としたけれど、レミリアが着ろと言うのだから逆らうことも出来はしない。 美鈴に手伝ってもらいながら何とか四苦八苦してドレスに腕を通した。 「咲夜さん、凄く綺麗です」 そう言って、美鈴は軽くメイクを落としていく。咲夜さんの肌は綺麗ですね、だからあんまり弄らなくてもいいかな。 アイラインを引いて、口紅を差す。 いいですよと言われて目を開ければ目の前の姿見に見知らぬ女が映っていた。 揺るぎない銀の髪が辛うじて自分であることを知らしめる。 「これ、履いてってレミリア様が・・・・」 「・・・・分かったわ」 ドレスと同じ黒のエナメルの靴を履く。 大きく背中の開いたドレスといい、華奢な造りと高い踵の靴といい、全てが心許なかった。 「咲夜さん、その・・・・私たちの事・・・・」 「美鈴、留守を頼んだわよ。・・・・・さあ咲夜、行きましょうか?」 現れたレミリアにはいと頷く。 美鈴はどこか悲しそうな顔をして、私が連れて行かれるのを見ていた。 行きましょうか、と言われたものの、何処へとは聞けなかった。 聞いていいような雰囲気ではまかり間違ってもなかった。 飛行しながら、流れる景色をぼんやりと見つめながら思う。果たして私は、何処に行くのであろうかと。 数分もかからずにレミリアは地上に降り立った。 それを見てこちらもゆっくりと下降する。 先に降り立ったレミリアが促すようにその手を伸ばしてくる。 少し躊躇った後に指先を重ねて動きにくい靴と格闘しながらのろのろと歩いた。 きっと靴擦れが酷いことであろう。 目の前には数回訪れたことのある屋敷があった。 重厚な扉を開いて、人のいない廊下を歩く。 かつかつと信じられないほど大きく足音が響く。柄にもなく緊張しているのかもしれない。 どうしてこんな格好をしているのかは知らないけれど、これから会いに行く人物には心当たりがあった。 こんな屋敷で用のある人物といえば、ただ一人。 「待たせたわね」 思っていた通りの場所でドアを開けたレミリアに、ある種の落胆と絶望が滲む。 「・・・・・待つ時間っていうのは、どうしてこうも長いんだろうね。レミリア、咲夜」 「・・・・・・」 他の給仕も執事も、誰もいない部屋で彼は一人静かに佇んでいた。 明るい茶色の目と視線が合う、と思った瞬間にはすでに彼は目の前にいた。 いつの間にかレミリアに預けていた手は彼に繋がれている。 「最後に会ったのはあの悪魔の妹君と一緒の時だよね、咲夜」 「・・・・っ、△△・・・・」 「○○、だよ。咲夜が呼びやすい呼び方で呼べばいいけど苗字は駄目」 今日から咲夜は俺のお嫁さんになるんだから。 確かな笑みと共に吐き出された言葉に驚愕した。 そんなことは、知らない。 何かの間違いではないのかとレミリアを見遣ったが、ただ静かに微笑み返されただけだ。 それだけで十分だった。彼の言葉が紛れもない真実だということを思い知るには。 目の前が真っ暗になって、力が抜ける。 みっともなく床の上に崩れ落ちるかと思ったけれどそんな無様な姿になる前に、○○に腰を取られた。 そのまま抱え上げられてソファの上に横たえられる。 ふわふわと沈み込む柔らかな感触が、まるで浮世離れしているのではないのかという錯覚を起こさせた。 理由なんて分からない。 けれどこの格好はその為だったのかと合点がいった。 勿論分かったからといって嬉しくも何ともない。 「咲夜」 「レミリア・・・・様」 「こうなったのは私の責任よ。・・・・私が、彼に負けたから。恨む?」 「・・・・・・」 無言で首を振る。 嫌で嫌でたまらなかったがだからといってレミリアを恨むのはお門違いだ。 例え本当にレミリアの言うとおり彼女の行為の何かが原因だったとしても恨めるはずがなかった。 「・・・私は、いいんです」 「・・・私は貴女の幸せを心から願っているわ。貴女が嫌だと言うのならこの話は―――」 「レミリア」 静かな、威圧的な声だった。 ぞっと皮膚が粟立つ。 初めて出会ったとき、この男はこんな声はしていなかった。 震える拳をきつく握り締めて、真っ直ぐに見上げた。 薄らと笑う瞳と視線がかち合う。 それからレミリアを見遣った。・・・悲しそうな、顔をしていた。 「・・・いい、です。結婚でも、何でもします」 「咲夜・・・・」 「紅魔館の皆さんのことを、よろしくお願いします」 それだけしか言えなかった。 覚悟を決めても所詮はその程度ということだ、情けない。 温かなレミリアの手が頭に触れた。 そのまま小さな子供を宥めるように、くしゃりとひとつ髪を掻き混ぜられる。 たったそれだけのことで身を切られるような思いだった。 この温もりはもう二度と手に入れられないのかもしれない。 「○○」 「分かってるって、レミリア。ちゃんと幸せにするよ・・・咲夜」 のろのろと顔をもう一度○○に向ければ毒を持った笑みで返された。 幸せになんてなれるはずがない、美鈴もパチュリーもフランも小悪魔も敬愛する主君であるレミリアもいない世界に自分の望む幸せがあるとは到底思えなかった。 投げ出したままの左手を取って、その薬指に指輪を嵌められる。 細くて華奢でシンプルな指輪だ。 虹色の石が嵌っているがそれが何なのかは生憎と分からなかった。 「オパールだよ。綺麗だろう?似合うと思ったんだ」 そう言って指輪を嵌めた(彼のものになった)手をそっと握って、口付けられる。 そのまま強く指に歯を立てられた。 反射的に逃れようとしたら更に強く手を握られる。 おそらくは血が滲んだのだろう、赤く濡れたものが見えた。 「・・・・っ、あ」 「浮気防止に、もう一つ」 ぺろりと唇を舐めて、爽やかに笑う。 レミリアの表情は悲しげなまま凍りついたように動かない。 だから、それ以上彼女に負担はかけたくなくて、大丈夫ですと言えば無理矢理納得したような顔をしてそれでもしっかりと頷いてくれた。 「・・・・じゃあ、私はこれで」 「いつでも遊びに来ていいって、紅魔館のみんなに言ってあげて」 「お気遣い、結構よ」 それだけ言ってくるりとレミリアは後ろを向く。 その背中が全ての言葉を拒絶していて、だから何も言えなかった。 彼女の後姿がドアの向こうに消えて、その足音すら捕らえられなくなって、もう一度ソファに沈み込んだ。 靴はすでに○○によって脱がされていた。 思考が同じ所で停滞している、何もかも考えるのに疲れた。 張り詰めた神経が緩むこともなくそのままいつか切れてしまいそうだと思いながら、目を閉じる。 とにかく今は眠りたかった。 目が覚めたら全ては夢だったという都合の良い話はないだろうか。 瞼を閉じたらとうの昔に枯れたはずの涙が二粒、頬を流れ落ちた。 補足。 十六夜咲夜 元紅魔館のメイド長。 咲夜に目をつけた○○とレミリアの賭け戦闘でレミリアが負けてしまったため、○○の嫁になることを決定付けられる。 それ以降すこぶる腹黒な旦那に振り回される毎日を過ごすことに。 ○○にあまりいい感情を抱いていない(レミリアを負かしたので)。 ○○ レミリアより強い、最強?な○○。 性格はすこぶる黒い、とにかく黒い。腹の底まで真っ黒。 事実かどうかは分からないが全て計算づくの上で奸計用いて咲夜をゲットしたとかしなかったとかいう、そんな。 多分十中八九本当のこと。 意外にも結婚生活自体にはどちらかと言えば乗り気なようで、ことあるごとにあの手この手と咲夜を虐めては(困ってたり屈辱に打ち震えていたりする姿を見て)楽しんでいるらしい。 心の底から性悪ですね。 でも咲夜のことを本当に心から、 レミリア・スカーレット 親馬鹿、咲夜馬鹿。 ○○との戦闘に負けて泣く泣く咲夜を嫁に出すことになってしまった。 彼女が嫁に行った日は一人で枕を濡らしていたとか何とか。 ───────────────────────────────────────────────────────── うpろだ591 俺がプロポーズしてから一月ちょっと 彼女が十六夜に別れを告げて一月弱 特に変わったわけでもなく、ただいつものように、毎日が過ぎて行っている 正直に言えば彼女が来てから店の方も繁盛してるし、人でも増えて楽になった でもまだ何となく、その・・・嫁に来たという実感が湧かないのも事実だ いまだ恋人のまま、同棲しているような感覚 いったい結婚とはなんなのだろうか? 「幻想郷に・・・紅魔館に来て、お嬢様のお世話をして、パチュリー様にお茶を入れたり図書館の掃除をしたり、メイドたちをまとめたり、サボってる美鈴を怒ったり」 彼女はまるで遠い遠い昔の事ように話す、瞳は悲しげに、口調は柔らかく 「霊夢や魔理沙が遊びに来て、たまにそれを撃退したり歓迎したり、異変の時も色々と大変だったわ・・・それでも凄く・・・楽しかった」 俺があまり知らない彼女のメイド生活、だか実に解り易く・・・光景が目に浮かぶようだ 俺の知らない彼女を、見て見たいなんてすこし、思った 「このまま年老いて死ぬのも悪くない、むしろ恵まれているなんて思ってた・・・でも」 俺とであった、俺に恋をしてくれた、そして俺も恋をした 「まさか自分が普通の人間みたいに・・・人を好きになって、体を重ねて、プロポーズまでされちゃって・・・幸せすぎて、夢なんじゃないかって、でも夢じゃなくて」 もし夢でも、俺は夢から現実まで出張って、君をさらいに行くよ 「紅魔館にいたときが一番幸せなんだと思ってた、いろんな人に大切にされて、幸せだった、危険もあったけど、充実してたし、満足してた」 「・・・じゃあ、何で君は俺との生活を選んだ?」 俺は、彼女も俺とおなじ事を言ってくれると信じて、一つの質問を、投げかけた 「それは・・・私はあなたを愛してるから、そして彼方が私を愛してくれるから――」 俺も、同じ気持ちだ 俺達は愛し合ってる、だけどまだ夫婦ではない、まだ俺達は彼氏彼女なのだ 何か区切りが必要なのだ、人によって色々だが、最も一般的なのは結婚式だろう、それと 「・・・古くは蛤の殻などを渡していたらしいが」 「?」 「まぁ一般的に・・・これが一番だと思ってな」 いつ渡そうか、ずっと出番を待っていた控え選手 温めていた身体、待ちわびていた気持ち 「え・・・指輪・・・」 「あんまりいいものじゃ無いが(推定月収8か月分)外から取り寄せてもらうのに金が掛かっちまってな・・・」 「綺麗・・・白金?」 「ああ、君には銀が似合うと思ったんだが・・・まぁいつまでも色あせない二人の愛情と言う意味も込めて・・・白金で」 ああ、俺はなに言ってるんだ、よくもまぁ恥ずかしい台詞をいえたものだ、素面なのに 「あ、ありがとう・・・やだ、嬉しすぎて」 涙が、ぽろぽろと零れ落ちた 俺もつられて泣きそうになるが、其処は男ですから、しっかりと胸で受け止めてやらんといかん 「咲夜、結婚式とやらををあげようか」 「え?・・・な、なんで?」 「区切りをつけよう、それと・・・お世話になってる連中に、幸せになる、って宣言しなきゃ・・・な」 お嬢様と妹様と引きこもりと小と中国とメイドsと霊夢と魔理沙とアリスとそれから、それから・・・ 「そうね・・・うん、皆に自慢しなきゃね、私幸せですよ、ってね」 なんか違う気もするが、彼女はそれでいいのだろう、周りも、俺も・・・たぶん 陽気ぽかぽか、昼寝をするには丁度いい昼下がり あの人がいなくなって、怒られる回数は減ったけど・・・ちょっと、いやだいぶ寂しい 「美鈴、頑張ってるかしら?」 「・・・・・さ、咲夜さん!?きょ、きょうはどおして!?」 「ふふふ、ちょっとね」 久しく聞いたのは、偉く上機嫌で、透き通るように綺麗な声だった 「お嬢様、いらっしゃいますか?」 久しく聞いた従者の声、幻聴かと思ったが間違いなく、其処に姿があった 「咲夜!?まさかもう・・・別居!!?」 「ち、違いますよ!そんなことは全然」 あの男に任せて、良かった、そう思わざるを得なかった 咲夜がこんなに幸せそうに・・・ 少し、いや凄く悔しい 「今日はちょっとした、報告とお願いを」 「報告とお願い?」 「私達・・・結婚式を挙げる事にしました」 To be continued! ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 58 理由は特に無かった。 人を好きになることに理由は要らないという言葉は本当らしい。 彼女を目で追い始めたのは何時からだったろうか。 ここは紅魔館のとある一室。 丁寧に掃除をしながら俺はいつものように彼女のことを考える。 十六夜 咲夜、俺の心を捉えて放さない人。 最初はそれほど気になる人ではなかった。 周りのメンバーの印象が強すぎて、常識人に見えたのが彼女くらいだった所為なのだろうが。 話せば長くなる成り行き上、ここで仕事をすることになった俺の上司。 ただ、彼女はそうであるはずだったのに。 何時からか変わっていた。 彼女の性格、仕草、言葉。 そういった何気ないものが俺にとって妙に気になるものになっていた。 「さて、こんなものか」 部屋の隅から隅まで掃除し終えた俺は部屋に置いてあった椅子に腰掛ける。 その状態から椅子にもたれかかり、天井を見上げる。 「何やってんだろう、俺」 彼女を想い続け、数年が経った。 何時までこんな半端な状態を維持するつもりなのだろう。 何度も彼女にこの想いを伝えようと思った。 その度に俺の中にある理性が必ず警告するのだ。 断られればそのあとはどうなるのか、と。 咲夜さんと今までのように接することができなくなる。 それどころか、俺は告白する覚悟など持ち合わせていないのだ。 現状維持――その言葉がいやに俺の頭の中を駆け巡る。 どんなに悩んでも変わらない、もどかしい状態が続いてきた。 彼女を見ていると何時だって俺という存在が霞む気がした。 大した力も無い、ドジを踏む、融通が利かない、器量も普通。 それに比べて彼女は完璧と呼ぶに相応しい。 そんな俺が彼女と共に居たいと思うとはなんともおかしな話だ。 「は、自虐が過ぎるか」 そう弱気な自分を一蹴してみてもやはり皮肉の言葉が沸きあがってくる。 「ああ、畜生。どうしてこんなに愛おしいんだ。どうしてこの感情を伝えられないんだ。どうしていつも踏みとどまっちまうんだ」 自分でも気がつかないうちに言葉が勝手に紡がれる。 少しずつ声が大きくなっていく。 分かっているのに、抑えられなかった。 ガタ…と部屋のドアから音がした。 誰か居るのかと思ったころにはもう遅く、既にその誰かへと呼びかけていた。 「誰だ?」 言い終わった直後に気配を消しながら音を立てずに素早く動きドアを開ける。 そこに居たのは驚いた顔で俺を見つめる、先ほどまで俺が思いを馳せていた咲夜さんその人だった。 「咲夜さん?どうしてここに?」 いきなりドアが開いたことに対して咲夜さんは驚いているようだ。 それもそうか、時間を止めようとしている間にこうなれば。 「え、あ…その…そろそろ掃除が終わったかと思って様子を見に来たのだけれど…」 戸惑いながらも彼女はここに来た理由を告げる。 しかし、何故か妙に落ち着きが無い。 本来の彼女なら既に平静を取り戻しているはずなのに。 ……嫌な予感がする。 俺はその嫌な予感を確かめるために彼女に一つ質問をした。 「あの、さっきの言葉……聞いていましたか?」 「い、いえ。聞いてないけど」 嘘だと直感した。 何故だか分からないが、俺と同じような感じがしたのだ。 「嘘ですね。そもそも、この部屋には防音加工が施されていないですし、あれくらいの声ならば聞こえてもおかしくは無いはずです」 「っ!」 咲夜さんの一瞬見せたその顔で俺は確信した。 「図星ですね」 彼女が慌てて取り繕ってももう遅かった。 それからしばらく言いようの無い、居心地の悪い静寂が辺りを包んだ。 「その・・・ごめんなさい」 「いえ、別に構いませんよ」 言葉が続かない。 さっきからバクバクと早鐘を打つ心臓が酷くうるさい。 彼女に聞かれていた恥ずかしさと、今後の彼女との関係はどうなるのだろうという不安が綯い交ぜになって、本当に落ち着かない。 「あの、私でよければ相談してくれないかしら」 なんとなくわかっていた。 彼女ならそう言うのでは、と。 その言葉を聞いた途端に彼女との距離が遠くなった気がした。 「そういうこと、私には経験が無いけど、私ができる範囲内なら協力してあげるから・・・」 そう言って微笑んだ彼女の表情はまさしく俺を連想させた。 本当に悲しそうで、本当に辛そうな、秘めこんで消してしまおうとする表情を見て、俺はただ、ここで何かを言わなければならない気がした。 「いえ、その必要はありませんよ」 自分の心を奮い立たせて言葉を紡がせる。 何を戸惑う、ここで言わなければ全てにおいて後悔する。 それで本当にいいのか。 「え・・?」 「聞かれていたのなら、もう踏みとどまる必要はありませんからね」 さあ、言おう。 秘め続けたこの想いを。 ただ、その為に今の俺はここにいる。 「咲夜さん、俺は貴女のことが好きです」 一度溢れたら、もう流れは止められない。 なんと思われようが構うものか。 今この瞬間だけはこの想いをぶつけたい。 「咲夜さんの声をもっと聞きたい、咲夜さんの笑顔をもっと見たい、咲夜さんの心に少しでも触れたい、 咲夜さんに少しでも近づきたい、咲夜さんを近くで感じたい、咲夜さんのことを知りたい、咲夜さんを愛したい。――――」 俺の言葉は止まるところを知らなかった。 最初は口をぽかんと開けて呆けた表情を浮かべていた彼女だが、次々と述べられる言葉を理解していく内に、その顔が徐々に赤く染まり、 遂には視線を泳がせて慌てふためき始めた。 「あ、う・・あ、あの・・その・・・」 もはや彼女は、完全に落ち着きを失っている。 その様はいつオーバーヒートしてもおかしくない程だ。 対して俺は、自分の心から次々と湧き上がる言葉をただただ口に出すことに必死なので、まったくといっていいほど彼女の様子を気にしていなかった。 「こんなことをいきなり、しかも勝手に言って迷惑なのは承知しています。けれど・・・駄目でしょうか」 「っ、そんなことない!」 ほぼ即答だった。 「私だって、あなたのことが・・!その・・す、好き・・」 段々と消え入りそうになる声。 しかし、最後の言葉ははっきりと聞こえた。 そう言われて俺は気がついた。 彼女も同じだったのだと。 そう分かると、なんだか顔が一気に熱くなってきた。 たぶん耳まで真っ赤なのだろう。 「えっと・・本当、ですか?」 「嘘でこんなこと、言わないわよ・・っ!」 ああ、これではっきり分かった。 そして、なんとなく顔が綻んでいるのが自分でも分かる。 再び沈黙が辺りを包んだが、今度はあの居心地の悪いものとは違う、どこかむずがゆいような…まあ、悪くない沈黙だった。 「えーっと、咲夜さん、ってあれ?!」 気づいた時には、彼女はもうそこにいなかった。 恐らく時間を止めて何処かに行ったのだろう。 「・・・まあ、いいか」 そう、まだ時間はたっぷりある。 ようやく進展したのだ。 もう恐れる必要は少なくとも無い。 さっそく、彼女を探しに行こう。 どんな顔をして会えばいいか分からないが、とにかく会いたい。 そう思った瞬間、彼女との距離が近づいたような気がした。 さあ、行くか。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 207 う~ん、今日はヒマだなー 黒白も紅白も来ないし、毎日こんなだといいなー って咲夜さん!?いつからここに? え?ヒマだなーの辺りですか?いや確かにヒマだっていいましたけどサボってたわけじゃ…… ちょ、咲夜さんナイフはやめてください! ~少女説得中~ はあはあはあはあ、た、助かった…… それにしても咲夜さん今日はやけに機嫌、悪いですね さては○○さんと何かありました? え?何で分かったかって?そりゃ分かりますよ これでも私咲夜さんの何倍も生きてるんですからよ 恋をしたことだってありますし結婚だってしましたよ、子供は……できませんでしたけどね …………そんなに珍獣を見たみたいに驚かないでくださいよ まあ彼は人間でしたからもう死んじゃったんですけどね 悲しくなかったのかって?そりゃ当時は泣きましたよ、泣いて泣いて泣いて それこそ泣かなかった日なんてないぐらいでした でも、それでも私はあの人と結ばれたことを後悔はしていません だから、咲夜さんも後悔はしないでくださいね これは人生の先輩からのアドバイスとでも思ってください ○○さん、もう咲夜さん行っちゃいましたよ 私の話、聞いてましたよね?だったら私の言いたい事分かりますよね 咲夜さんにも言いましたけど後悔だけはしないで下さいね ふぅ、二人とも世話が掛かるなぁ でも、あの二人を見てると昔のわたしたちを思い出すなぁ…… あなた、私は今日も元気であなたを愛しています 美鈴は妖怪で長生きだから昔結婚しててもおかしくないんじゃないか? って事で書いてみた美鈴しか喋ってないけどwwww ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 430 「フラン!早く部屋に戻りなさい!!」 「やだっ!もうあんな暗いところは飽き飽きよ!!」 紅魔館の中を縦横無尽に走り回るスカーレット姉妹、どうやら妹様があの部屋から脱走なされたようだ 「○○!フランを止めなさい!」 「ええっ!?私が!!?無理です!無理です!!」 「ゴメンね○○」 俺の横を抜ける時に妹様は確かにそういった すぱっ、っと綺麗に腕を切られてしまった 「ちぃっ!あのバカ妹!!」 そう言ってレミリア様も何処かへ行かれてしまった 「・・・切られ損・・・左腕どうしようかなぁ」 俺は吸血鬼(出来損ない)なのでこれぐらいはなんとも無いが・・・痛いorz とりあえず切られた左腕を拾って途方にくれた 「パチュリー様、治癒魔法って使えます?」 仕方がないので図書館へと足を運んだ 紅魔館の頭脳!引きこもり!エレメントマスター!喘息患者! 魔法使いパチュリー・ノーレッジ 彼女に聞けば大抵の問題は解決してしまうのだが 「咲夜に頼めば?彼女裁縫は得意よ?」 「いや・・・治癒力が弱いもので・・・」 「貴方腐っても吸血鬼でしょ?表面さえくっつけば遅くとも1日ぐらいで治るはずよ」 彼女はすぐに読書に意識を向けた、こうなってはもう言葉も届かないだろう 仕方がないので咲夜さんの所へ 「腐っても吸血鬼か・・・ほんとに腐ってるから笑えないなー腐った死体に改名しようか」 「何をブツブツ言ってるのよ、怪しいわよ」 「あ、咲夜さん、丁度いい所に」 「?」 これまでの経緯を説明し左腕の表面をくっつけてくれるようにお願いした 腕の接合なんて嫌がられるかと思ったがすんなり受けてくれた 「貴方も吸血鬼何だから避けるなり受けるなりしなさいよね」 「は、ははは・・・」 「ちょっと!?こんな事で落ち込まないでよ!」 「いや・・・此処に来てから一度も役に立ってないな、と思って」 妹様に逃げられる、侵入者を止められない、掃除も料理も並以下 出来るのは夜の見回りとメイド達が出来ない力仕事ぐらい 「はぁ・・・俺は、駄目だなぁ」 「・・・少なくとも、メイド達は貴方の事頼りにしてると思うわ」 「そう、ですか?」 「優しいし、何でもよく気付くし、力持ちだし、家具の移動とか楽になったわ」 「・・・少しでも役に立ててるなら幸いです」 「私は・・・貴方が此処に来て最初は胡散臭いと思ったけど・・・今は、大好きよ」 「へ?・・・え?大好きってその・・・」 「さぁ、腕もくっついたし、仕事に戻りましょ!」 「あ、ありがとうございます、あ、あの、咲夜さん?」 「ん?」 「それってどういう 彼女は優しく微笑んで部屋から出て行った、俺はその笑顔があまりにもまぶしくて思わず見とれてしまった それ以上に自分で何を言われたかまだ理解できないでいた 「―ッ!」 彼女の言葉と微笑を、理解したと言うか、思い出したというか とたんに恥ずかしくなってその後は仕事にならなかった 「LOVEなのかvery LIKEなのか・・・うーん」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 671 「いらっしゃい・・・なんだ、君か」 里のはずれの方に建つ一軒の怪しげな家、いや正確には店、か 「お客になんだとは失礼ね」 其処に訪れたのはメイド服のパッdげふんげふん、十六夜咲夜だった 「頼んでいおいたのは出来てる?」 「ばっちり、あまり乱暴に使うなよ、すぐ刃毀れするからな」 そう言って数十本の短剣を渡した 「わかってる、けど投げナイフはもともと消耗品でしょ」 代金を払い、短剣を鞄にいれた 「・・・」 「・・・」 じっと見つめあう、よくわからないが張り詰めた雰囲気だ 「わかったよ、お茶飲んでいきなお嬢さん」 「ありがと♪今日もゆっくりしていくわ」 ナイフ研ぎで2時間も3時間も粘られるとは・・・しかし常連さんなのである 「・・・帰らなくていいのか、吸血鬼のお嬢様が待ってるんじゃないのか?」 「いいのよ、今日は一日休みだから」 「ふ~ん、お前さんにも休みがあるんだな」 「○○なんて毎日休みみたいなものじゃない、お客も私ぐらいでしょ?」 「そんなことは無い!へんな爺さんとか二刀流の幼女とかも来るぞ」 数年に一度だがね、週一で来るのは咲夜ぐらいだろう、客が少なすぎるが生活になんら問題はない 「それじゃ帰ろうかな」 「ん、気をつけてな」 店を出て、帰路に着いた 「・・・引き止めてはくれないか」 ため息を吐きながら、自然と言葉が出た 「やだ、これじゃまるで」 そう、彼に・・・恋してるみたい 「いつか、○○のほうから・・・お茶に誘ってくれないかな」 吐く息が白くなる、私の隣は空のままだ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 677 「○○ここの荷物を4倉庫にお願い」 「はい、解かりました」 最近は咲夜さんにあごで使われてばかりだ 掃除も料理もお茶も駄目な俺は重量級の荷物整理、深夜の雑草ぬき、深夜の門番 これぐらいしか仕事がないもんだから暇でしょうがない 暇な時間はフラン様の話し相手をしたり、レミリア様から有難い講釈を受けたり パチュリー様から実験のサンプルを取られたり、そんな感じ 「お疲れ様、休憩にしましょう」 彼女は本当によく出来たメイドだ、一言で言えば堅い でも、時折見せる少女のような一面に、おれはメロメロ(死語)だった 休憩時間のことだった、窓の外に話しかけてる咲夜さんをみた 霊夢さんとでも話してるのかと思ったら、小鳥に話しかけてた いやもう、かわいいね、やばいよあれは けっこう華奢でね、腕なんかすごーく細いのよ 前に大きめの荷物を持とうとしてね、持てたんだけど重くて足の上に落しちゃったみたいなんだよ すっごい涙目でね、でも我慢してるんだよ 人目を忍んで痛かったーとかいってるのよ いや、もうね、あのギャップ、惚れたよ 普段は完璧なメイドを演じてて、実はか弱い年相応の少女ってのはね、おじさんぐっと来るね 「○○ー!この荷物をー」 「はいっ!ただいま」 いけね、へんな妄想をしてしまった 「これとこれを、終わったら今日はおしまいよ」 せっかく腕力があるんだから、こういう仕事でがんばるしかない 咲夜さんが小さい荷物を運ぼうとしててを滑らせた 「ッ!」 落としたのはこの前と同じ足の上 「あ、この前と同じとこ・・・」 「み、見てたのね!?この前私が―」 「わーごめんなさいごめんなさい、偶然見たんですよー」 頭を庇って、下を向いた・・・あれ? 「咲夜さん!?血!足血がでてます!」 咲夜のエロいじゃなくてきれいな足の甲から血が滲み出ていた 「あら、ほんと・・・大丈夫よこれぐら「救護班!手当てをー」 「ちょ!?○○!?」 音より速く、咲夜を抱えて(もちお姫様抱っこ)救護が出来るメイドの所へ駈けた 「はい、これで大丈夫ですよ、意外ですねメイド長がうっかりミスで怪我だ何て」 咲く夜は少し恥ずかしそうに、俺は横で心配そうに、メイドは何だかニヤニヤしながら 「それじゃ私はこれで、あまり足に負担をかけないでくださいね」 「ありがと・・・ほかの子には黙っててよ」 「ふふふ、解かりましたよ」 「・・・よかったー」 「○○さん」 メイドにが耳元でボソッとしゃべって言った 「○○GJ!咲夜フラグげとー!」 意味不明な呪文を呟いて部屋を出て行った、何だあれは? 「○、○○・・・その・・・あ、ありがと」 これはヤヴァイ、いつも気丈な咲夜が、頬を染めて、素直に、礼を言ってる 少し申し訳なさそうな感じが可愛さを更に引き出して、これは・・・がんばれ理性! 「い、いえ、当然のことをしたまでですよ」 「・・・そうね、そうよね、貴方は誰にだって優しいよね・・・」 なぜそんな悲しそうな顔をするんだ、俺は君の笑っている顔がすきなんだ 曇った顔は、暗い顔は 「咲夜さん?なにか・・・」 「はは、なんでもないの、仕事に戻りましょ」 部屋を、出て行こうとした彼女の手を、握った、俺は彼女を引きとめた 「俺で、俺でよければ・・・話してください」 「そう、ね・・・私、好きな人がいるんだけどね、そいつは鈍くて、何処か抜けてるけど・・・とても優しいの、誰にでも・・・誰にでも優しいのよ」 咲夜さんに好きな人?俺は・・・いやだ、そんなのは嫌だ、でも・・・彼女は 「そいつ・・・幸せな奴ですね!咲く夜さんにこんなに想われてて」 黒い感情を押し殺した、でないと俺はきっと酷い事を言ってしまう、醜い 「・・・そうよ、こんなに想ってるのに、あの莫迦鈍くて・・・」 彼女の瞳を涙が濡らす、泣いている姿をみて、不謹慎にも、綺麗だと思った 「咲夜さん・・・泣かないで」 「誰のせいで泣いてると思ってるのよ!!ばかー!!!」 ぱしーん、と勢いよくびんた、そのまま彼女は走っていった いたい・・・なんで俺が 「誰のせいで・・・・鈍くて・・・誰にでも・・・・・・」 彼女の言葉を思い返して整理して 「え・・・俺?もしかして、もしかしなくて俺?」 いや、この結論に至った事を妄想乙とか言われても構わない 彼女の言葉からは、行動からは、それが最も正しい― 「はっははは、俺が・・・咲く夜さんが俺を」 生まれて初めて、嬉しくて泣いた、嬉しすぎて笑った 笑いながら泣いた、そして走って行った十六夜咲夜の後を追って走った ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 747・750 「なぁ咲夜、俺は・・・お前の事が―」 ぴぴぴぴぴぴぴがちゃ 「ん・・・夢だよね、あの人がそんな事・・・」 もう少し時計が鳴るのが遅ければ、あの人のセリフを 溶けるくらい甘いセリフが頭をよぎった、自分で恥ずかしくなった、馬鹿馬鹿しいと思って 「早く着替えなきゃ、仕事が」 すぐに着替え、身支度を済ませ仕事へと向かった 部屋を出た、瞬間何かにぶつかった 「きゃっ!」 どす、っと堅いものにぶつかった・・・あれ? 「大丈夫ですか!?咲夜さん?」 ○○さんの胸、らしい、頭のすぐ上から○○さんの声がする・・・ 「ご、ごめんなさい、私ったら急いでて・・・その」 あんな夢を見てすぐに○○さんに会っちゃうなんて、恥ずかしくて顔が見れない 「咲夜さん?どうしたんですか!?顔が赤いですよ?熱でも」 「大丈夫です、大丈夫ですから」 なんでもないからそんなに近づかないで!今は― 俯いてるのに○○さんの顔が正面に見えた・・・え? おでこが、おでこが あの例のあれ(おでことおでこで熱を測るの) ぱたっ 私は私の倒れる音を聞いた 「あ、メイド長、気がつきましたか」 「ここ、は?」 「医務室ですよ、メイド長いきなり倒れたんですよ?」 「そうだ、○○さんは!?」 とんだ失態を見せてしまった、というか恥ずかしくてしょうがない 「かっこいいですよねーメイド長を軽々と抱えて医務室まで来られたんですけど」 私が知らないうちに私はいい思いをしてたらしい、意識がないのが悔しい所ね 「すっごくあわててましたよー、お姫様抱っこって絵になりますよね」 おおおおお姫様抱っこ!??きゃー 「もう大丈夫ですよ、熱中症という事にしておきますから」 メイドはさっきからニヤニヤしている 「ニヤニヤしないでよ、私だって恥ずかしいんだから」 「あ、いえいえ、そういうことではなくてですね・・・メイド長、いえ咲夜さんは○○さんにとってとても大切な人なんだなぁって」 「な、なにを」 「だっていつもクールで優しい彼があんなに取り乱して、あれだけ思われてる咲夜さんが羨ましいですよ」 「そんなこと・・・ないわよ、彼は誰にだって優しいわ」 「・・・まぁいいですけど、思ってるだけじゃ思いは想いのままですよ?」 「・・・ありがとう、仕事に戻るわ」 「はい、がんばってくださいね咲夜さん・・・陰ながら応援させてもらいます!」 「ふふ、ありがと」 「これからどうなるかwktkしますね」 「わくてか?」 きにしないでください 「咲夜さん!もう動いて大丈夫なんですか!?」 「ええ、全然大丈夫です、すいません、朝から迷惑ばかり」 「いえ、咲夜さんが元気ならそれでいいんですよ!迷惑だなんて、ぜんぜん」 この人が私を好き?私の大好きなこの人が、私を好きでいてくれるの?本当に・ 「○○さん・・・今日は何時まででしたっけ?」 「仕事ですか?確か5時半までだったと」 「・・・6時に・・・中庭で、その・・・待ち合わせしませんか?」 「何か相談とか、ですか?」 「え、ええそんな所です、いいですか?」 「構いませんよ、それでは6時に中庭で」 その後はいつもどおりに仕事をした、仕事をすることで、少しでも気がまぎれればと思った 「メイド長!」 「な、なに?いきなり」 「○○さんを誘ったんですね~!」 「き、聞いてたの!?」 「聞いたんではありません、聞こえたんです、不可抗力であって自己の意思による選択の(ry」 「・・・今朝も言ったけど他のメイドには秘密だからね!?わかってる?」 「ええ、ちゃんと把握してますよ、こういう秘密は秘密にするからこそ面白いんですよ」 「・・・今夜は・・・がんばるわ、どんな結果であれそれを受け入れる」 「がんばってくださいね、私は咲夜さんを応援してますよ」 ほーほー ふくろうが鳴いてる、今は5時45分、私は少し早く来てしまった 待ちきれなかった、期待と不安に押しつぶされそうだった、早く楽になりたかった 楽になれるといいのにな 「せっかちさんですね、約束まであと十分ほどありますよ」 ○○さんが、来た 「呼び出しておいて遅れるの失礼だと思って」 「そうですか・・・それでなぜ私を?」 言おう、言うぞ、言えっ! 「私はっ・・・」 声が震える、上手く声がでない、なんで!? 「私は」 恐怖か不安か、黒い感情で声が震える、悔しくて涙が出た 今朝とは違う、衝突ではなく抱擁、私は、彼に抱きしめられた 「何があってどういうことなのかは解かりません・・・でも泣かないでください」 あったかい、人肌がこんなに心地いいなんて 「○○さん・・・私・・・あなたの事が好きです、大好きなんです」 「咲夜さん・・・俺も言いたい事があるんですけど、いいですか?」 「は、い」 拒絶か、怖くなって身構えた、衝撃で、壊れないように 「俺は、○○は、十六夜咲夜が好きで好きでしょうがない、大好きだ・・・だから」 「○○さん・・・」 また抱きしめられた、いや今度は違う、お互いに、抱きしめ合った 私は、私たちは、自然と、お互いの唇を求め合った 「・・・よかったですねメイド長!ぐすぐす」 遠くから二人の様子を見守っていたメイドがぼろぼろ泣きながら喜んでた レミリア様に朝早く咲夜の部屋を出て行く○○が目撃されてしまうのは別の話・・・ ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 807 「いらっしゃいませ~」 「こんにちは」 此処は調味料、珍味、漢方原料取扱店「ヰ茶主列度」 「こんにちは咲夜さん、今日は何をお求めですか?」 「パチュリー様の要望でね、この紙に書いてある物を」 「かしこまりました」 十六夜咲夜は既に買出しを終えたらしい、持っている荷物の量からするとうちが最後か 「大変ですね、買出しからお遣いから、館のあれこれ」 「もう慣れたわ、流石にね」 世間話をしながら商品を探し、揃えていく 守宮の尻尾~蜥蜴の青尾~♪コウモリこうもっり♪るるるー 「これで全部です、お化けきのこは切らしてるので、申し訳ない」 「じゃあそう伝えておくわ・・・」 …流石の咲夜さんもお疲れのご様子で 「これオマケしときますね」 「なにそれ?」 「栄養ドリンクヰ茶磨れすぺしゃる、です」 「…怪しすぎる、大丈夫よね?」 「少し飲んでみて駄目だったら門番か魔法使いに上げてください」 拳大ほどの瓶に容れられたワインレッドの液体・・・ とりあえず貰える物は貰う、ポケットにそっと仕舞った 「あの・・・えっと・・・来週がですね・・・その、休みなんですよ」 「久しぶりの休みですね、ゆっくり出来るといいですね」 「そうじゃなくて・・・その・・・よかったら、いえ、時間があればでいいんです!私と・・・その・・・」 ガラス細工を触るように、咲夜の唇に触れた、指だよ? 「お嬢さん、来週もしお時間が有れば、この私と、過ごしてもらえませんか?」 「あ・・・は、はいっ!喜んで!」 その晩、暗い部屋に一人、明かりを灯し瓶を眺める少女 「早く来週にならないかなぁ」 瓶の中で、真紅の液体がころがった ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 411 ドアの閉まる音に首を向けると咲夜が立っていた。 「あれ、レミリア様のところにいなくてもいいのか?」 「ええ。なんだか体調が優れないとか言って、早々に寝ちゃったわ」 「ふうん。――ま、座れよ。紅茶と珈琲どっちがいい」 「それくらいなら私が……」 「いいって、俺にも少しはやらせろよ。で、どっちだ?」 「じゃあ……紅茶。美味しく淹れなきゃだめよ」 悪戯っぽく咲夜は笑う。いつも張り詰めたままの表情も年相応に見えた。 震える手で紅茶を渡すと、微笑んでそれに口をつけた。 「まあまあね。ま、ぎりぎり及第点って所かしら」 「……厳しいなぁ。結構自信あったんだぜ?」 「自信があっても結果が伴うとは限らないのよ。精進することね」 「妙に実感篭ってるな…。――まさか咲夜も昔は?」 「何のことかしら?」 「はは、じゃあ気にしないでおくぜ」 月が照らす部屋で俺と咲夜は小さな声で笑った。 誰が聞くこともない、笑い声が部屋に染み込んでいった。 「なんで私がここに、とは訊かないのね」 「恥ずかしいからな。あえて、だ」 「ふふふ、そう。じゃあ、恥ずかしいついでに踊りましょうか」 「おいおい、俺はステップなんて知らないぜ?」 「大丈夫、私が教えてあげる」 「そうか、なら安心だな」 「今宵、私の時間は貴方のもの。踊りましょう、日が昇るまで」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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《紅き月の従者 十六夜咲夜》 効果モンスター 星4/水属性/戦士族/攻 1900/守 1500 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は自分フィールド上に存在する 「紅き月 レミリア・スカーレット」を攻撃対象に選択できない。 また「紅き月 レミリア・スカーレット」を対象とする魔法・罠カードの効果を無効とする。 1ターンに1度、相手フィールドに表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更することができる。 この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言を行えない。 《紅き月 レミリア・スカーレット》の従者。 主を守る二つの永続効果でボムとして《ソウルテイカー》一個分くらいは消費させられる。 戦士族で攻撃力1900の効果モンスター、そしてデメリットが皆無に近い優秀なアタッカー。 《増援》、《戦士の生還》に対応し、専用カードによるトリッキーな効果を絡めれば縦横無尽の活躍が見込める。 水属性である事を利用して《伝説の都アトランティス》と併用する事でロックをすり抜ける2100アタッカーとして使うのもいいだろう。 《紅き月 レミリア・スカーレット》を戦闘から守る効果は地味ながら、しかし簡易で直接的な手段である戦闘除去を確実に一回は無効にできる。 このカードのステータスは普通の4レベルアタッカーだが《インディスクリミネイト》を使用すれば実質攻撃力2900にも跳ね上がる。 ただ、後続を凌ぎきるには少々不安が残るので壁として留めたい場合は《ミスト・ボディ》でも採用するべきか。 《紅き月 レミリア・スカーレット》を対象を取る魔法・罠から守る効果は強力だが、モンスター効果は素通りしてしまう。 また、自分の使う装備魔法等も無効化されてしまう。《吸血鬼幻想》とはシナジーしないので注意。 対象を取らない《ライトニング・ボルテックス》や《聖なるバリア-ミラーフォース-》等の全体除去も素通ししてしまう。 これが不安な場合は対策としてカウンター罠を用意するか、《フォービドゥンフルーツ》を用意しておきたい。 己の攻撃宣言を犠牲としてスペルスピード1の表示形式変更効果も持っている。 アタッカーとしての能力は失われるが、モンスターが並べられるなら帝だろうがダムドだろうが守備力1000を無防備に曝け出す事になる。 ただし、《水の精霊 アクエリア》のように表示形式変更権を使えなくする効果は無いので抑止力たりえない。基本的にはやはり従者として扱うべきだろうか。 勿論この効果も《紅き月 レミリア・スカーレット》とは抜群のシナジーを発揮する。 総じて、アタッカー・戦闘補助・上司の生贄として効果的な属性・主の守り・効果耐性付与と、 殆ど隙の無い優秀なモンスター。まさにパーフェクトメイドと言える。 2008/09/02にエラッタが成された。これにより、悪魔族全体の耐性から自分の主一本の耐性に。 デメリットのない下級戦士族で1900の攻撃力を持つのは《E・HERO アナザー・ネオス》とこのカードのみ 現在実装されている東方のカードでは最多のスペルカード数を誇る、流石は咲夜さんCGIと言うべきか? 攻撃名は「メイド秘技「殺人ドール」!」 攻守変更効果は《モンスター》は咲夜に時を止められ体勢を崩した! レミリアを守る効果「咲夜が、レミリアを対象とする効果を防いだ!」 と、メッセージが出る。 原作・アニメにおいて―~ 東方紅魔郷5面ボス・6面中ボスを務める。また、東方妖々夢にて自機へ昇格。 その後も東方萃夢想、東方永夜沙で主と共に自機になるなど、かなり待遇のいいキャラである。 『時間を操る程度の能力』を持つ。二つ名は『完全で瀟洒な従者』『危険な手品師』。 投げナイフを武器及び弾幕の手段とし、門番のサボりを咎めたり侵入者を迎撃したり・・・ 炊事洗濯掃除に戦闘、と四拍子揃っているメイドである。 関連カード 《紅き月 レミリア・スカーレット》 《紅魔館門番 紅美鈴》 《インディスクリミネイト》 《クロックコープス》 《プライベートヴィジョン》 《血の懐中時計》 《ミスディレクション》 《夜霧の幻影殺人鬼》 《パーフェクトスクウェア》 《ソウルスカルプチュア》 《パーフェクトメイド》
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紅魔館の番人「紅 美鈴」&「十六夜 咲夜」 読み:こうまかんのばんにん「ほん めいりん」&「いざよい さくや」 カテゴリー:Extra/女性 作品:東方混沌符 属性:無 ATK:6(+1) DEF:4(+1) 【エクストラ】〔「紅 美鈴」&「十六夜 咲夜」〕 Battle 〔自分のデッキの上から3枚を控え室に置く〕目標のキャラ1体に6ダメージを与える。この能力は1ターンに1回だけ発動できる。 C:仕事は余りサボらないことね。私と違って貴方の時間は有限だもの SC:いや、サボってるわけではなく少し見回りを……。本当ですよ~ illust:山鳥おふう TP-074 C SC 収録:ブースターパック「OS:東方混沌符 1.00 追加パック」 参考 ネームが「紅 美鈴」であるキャラ・エクストラ一覧 華人小娘「紅 美鈴」 芳華絢爛「紅 美鈴」 紅魔館の陰と陽「パチュリー・ノーレッジ」 「紅 美鈴」 紅魔館の門番「紅 美鈴」 紅魔館の番人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 紅魔館の使用人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 気を扱う程度の能力「紅 美鈴」 気を扱う妖怪「紅 美鈴」 明治十七年の上海アリス「紅 美鈴」 上海紅茶館「紅 美鈴」 Stage3 紅色の境「霧雨 魔理沙」 「紅 美鈴」 東方紅魔郷 「紅 美鈴」 ネームが「十六夜 咲夜」であるキャラ・エクストラ一覧 紅魔館の番人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 紅魔館の使用人「紅 美鈴」 「十六夜 咲夜」 紅魔館のメイド長「十六夜 咲夜」 紅魔館のメイド「十六夜 咲夜」 月時計「十六夜 咲夜」 時間を操る程度の能力「十六夜 咲夜」 時間を操る人間「十六夜 咲夜」 完全で瀟洒な従者「十六夜 咲夜」 夢幻の紅魔「十六夜 咲夜」 「レミリア・スカーレット」 ルナ・ダイアル「十六夜 咲夜」 メイド長と妹様「十六夜 咲夜」 「フランドール・スカーレット」 メイドと血の懐中時計「十六夜 咲夜」 ミスディレクション「十六夜 咲夜」 パワーディレクション「十六夜 咲夜」 ジャック・ザ・リッパー「十六夜 咲夜」 さくらさくら「十六夜 咲夜」 “異変解決”殺人ドール「十六夜 咲夜」 “異変解決”夢幻の紅魔「十六夜 咲夜」 「レミリア・スカーレット」 “異変解決”夜霧の幻影殺人鬼「十六夜 咲夜」 “異変解決”ラストスペル「十六夜 咲夜」 “異変解決”ミステリアスジャック「十六夜 咲夜」 “異変解決”“東方永夜抄”逢魔が時「十六夜 咲夜」&「魂魄 妖夢」 “東方永夜抄”夢幻の使用人「十六夜 咲夜」 “東方永夜抄”Stage4 uncanny 伝説の夢の国「博麗 霊夢」 「十六夜 咲夜」 “東方妖々夢”森羅結界「博麗 霊夢」&「霧雨 魔理沙」&「十六夜 咲夜」 “東方妖々夢”「十六夜 咲夜」 “東方妖々夢”Spiritual Short Bomb「霧雨 魔理沙」&「十六夜 咲夜」 “東方妖々夢”Cherry Point「博麗 霊夢」&「十六夜 咲夜」 Stage5 紅い月に瀟洒な従者を「十六夜 咲夜」 Stage4 雲の上の桜花結界「十六夜 咲夜」&「メルラン」 Stage3 人形租界の夜「十六夜 咲夜」&「アリス・マーガトロイド」 東方紅魔郷 「十六夜 咲夜」 東方妖々夢 剣客ふたり「十六夜 咲夜」 「魂魄 妖夢」
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無印版 DX版 属性 近接 種族 妖怪 価格 9000P 移動力 4 射程 1 攻撃力 8 防御力 7 6 最大SP 80 50 備考 弾防+20%拠防+20% 生産可能ショーグン:レミリア、パチュリー、咲夜、美鈴、萃香、フランドール 紅魔郷3面ボス。 機動力を捨てて防御力に特化したユニット。トライアルなどの守勢時で活躍が期待できる。 防御力7はほとんどの弾幕攻撃を無効化でき、近接ユニットに対しても妖夢くらいまでなら相当ダメージ軽減が可能。 結界上で粘ればかなりの時間稼ぎができる。回復能力持ちがお伴していたり美鈴がショーグンだったりするとさらに堅固になる。 さすがに飛行ユニット相手には分が悪いが、そもそも飛行ユニットは全体的に高価なためある意味しょうがないとも言える。 逆に攻勢に回ったときは足の遅さからほかの近接ユニットよりも使い勝手は悪くなる。特に森越え山越えは苦手。 DX版では、門番という特性を生かした拠点防御特化の性能に。 防御力とSPは下がったが、対弾幕性能はほぼ据え置き。 美鈴がショーグン時や、拠点上だと弾幕による攻撃は90%カット、パチュリーショーグン時のパチュリーですら0.59しか与えれないという鉄壁に。 ちなみに、上司である咲夜にはやや弱く、攻撃力14と神奈子と同等のナイフが飛んでくる。
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十六夜咲夜は瀟洒にして従順な悪魔の狗である。 故に主の指示は絶対。何においても優先されるべき事項であらねばならない。 だから、 「咲夜。貴方は少し時間操作に頼りすぎるキライがあるわ。それでは現状からの脱却は図れない。成長なんてあるはずもない。なので当分の間使用禁止ね。いいって言うまで時間止めちゃ駄目だから」 等という無体極まりない事を言われたとしても遵守せねばならないのだ。 それ絶対今思いつきましたよね。なんて思ってても口に出さず、ただ一言、了承の意を表す。 現状からの脱却、新たなステージへの扉。結構ではないか。 お望みとあらば如何なる私にでも成りえましょう。この身は常に、髪一本から血液に至るまで貴方だけの物なのだから。 「あ、当然だけど職務上の失態にはペナルティーを課すから。とりあえずワンミスにつきスカート膝丈マイナス1cmね」 「……ハイ」 うるさい。泣いてなんかない。 「場合が場合だし否も応も言ってられないわ。不本意ではあるけど私の手が回らない分はサポートをお願い」 「期待してたわけじゃないですけど、わざわざ呼び出されて上にそこまで言われたんじゃ流石に凹みます」 能力を制限しての職務遂行に不安を感じた私は、まず補佐をつける事を考えた。 美鈴は(仮にも)門番なので持ち場を離れさせるわけにはいかないし、小悪魔も立場上、パチュリー様の傍を離れるわけにはいかないだろう。妖精メイドでは、とてもではないが任が務まるとは思えない。 そこで白羽の矢が立ったのは、先日湖畔で行き倒れていた所をお嬢様の気まぐれで拾われた○○という男。 捨ててきなさいと主張する私やパチュリー様に対してお嬢様はしたり顔で「これも運命よ」等とのたまったものだが、そんなノリで近い将来紅魔館が浮浪者だらけにならないか、密かに胸を痛める日々である。 さりとて、○○も全くのゴクツブシというわけでもないようだった。 労働力の足しにでもしてくれと言う彼にとりあえず仕事を与えてみたのだが、これが存外に覚えも早くその仕事ぶりもなかなか配慮が行き届いたものだったので、これには正直驚かされた。 現に今も不満を口にしながらも呼び出しに素直に応じる辺り、職業意識も悪くない。 だというのに、ただ一つ、どうしてもこの男に素直な評価を下せない理由がある。 「しかし能力制限とはまた思い切った事を始めたもんですね」 あたかも自分が難題を仰せつかったかのように、難儀そうに言う○○。 「だからといって完成度の低い仕事をするつもりはないわ。無論手を抜くつもりもね」 「立派ですけどあまり無茶はしないで下さいよ」 そう言って今度は苦笑交じりにこちらを気遣ってくる。こういう所は素直に好感がもてる。 そこでふと、○○は何かに気付いたかのように真剣な顔で考え込み始めた。 時折こぼれる「そうか、普通の人と……」という呟きが、何やら不穏な気配を感じさせてやまない。 「あの、○○?」 放って置くべきかとも思ったが、異様な雰囲気にのまれてつい声をかけてしまう。 そしてそれはすぐに失敗だったと後悔する破目になった。 名前を呼ばれた○○は俯き加減だった顔をガバッと上げて、妙な決意を宿した眼をこちらに向けて一息にまくし立てた。 「つまり今の咲夜さんは普通の婦女子となんら変わらんわけですね!? 今なら勢いに任せて強引なイチャイチャ展開も可だと!」 「ちょっと落ち着きなさい。○○」 「大丈夫。心配はいりません。腐ってもこの○○、紳士です。普段と違う状況下で内心小動物のように震えているであろう貴方の心ごとエスコートして差し上げます」 「妄想なら自分の部屋でやってもらえるかしら」 「っていうか正直、辛抱たまりません。咲夜さん愛してr」 いい加減うんざりしてきたので、取り出したナイフで頬をペチペチ叩いてやると○○はおとなしくなった。 「さっき言ったわよね?『手を抜くつもりはない』って。部下の躾も然りよ。オワカリ?」 「・・・いえす、まむ」 「よくできました。それじゃ別命あるまで待機。以上」 「ラジャー」と力無く答えてトボトボと去っていく○○。 本当に、ああいう所さえなければ評価してあげてもいいのだけど。 「○○」 「なんすか」 「後で買い出しにいくから里まで付き合いなさい。荷物持ちよ」 俄かに○○の顔が喜色に染まっていく。 「デートですか!」 「だから荷物持ちだって……あぁ、もう如何とでも取ればいいわ」 なんにせよ、こんな事で子供みたいにはしゃぐ○○を見ていると、こう思わなくも無い。 当分はこのままでも良いかもしれない。と。 うpろだ1050 ─────────────────────────────────────────────────────────── ガシャーン けたたましい音と共に調度品がコナゴナになった。 「ああ、また……」 「咲夜さん、大丈夫ですか?」 「いえ、さすがにこれほどコナゴナになってると直すのは無理ね……」 「いや、俺が言っているのは咲夜さんの方ですが」 「私のことはいいから、ほらホウキとチリトリ持ってきて」 「はい」 言われた通りにホウキとチリトリを持ってきて粉砕された壷を二人で掃除しながら俺は咲夜さんを見ていた。 今日の彼女はどこかおかしい。さっきみたいな普段しないようなミスをしたりボーッとして話しかけても上の空だったりしている。 紅茶に間違えてトカゲの血を入れてお嬢様が噴出した時は笑いを堪えるのが大変だったが。 「本当に平気ですか?」 「……え、ごめんなさい。聞いてなかったわ。それでなに?」 「咲夜さん、やっぱり休んだほうがいいですよ」 「そうもいかないでしょ、私が休んだら誰が紅魔館の仕事を行うの?」 「それはそうですが……」 「ムダ口はそれ位にして、これを捨ててきてちょうだい」 渡されたゴミを持ってゴミ捨て場に向かおうとしたら、背後でパタリと何かが倒れる音がした。 慌てて振り返るとそこにはうつ伏せになっている咲夜さんがいた。 「あ、あれ? おかしいわね、なんで急に」 無理に体を起こそうとするが腕に力が入らないのか、また倒れこんでしまう。 「ほら、やっぱり無茶してたんじゃないですか」 「な、何言ってるのよ。これは転んだだけよ、すぐ立ち上がるからあなたは別の仕事をしてなさい」 そう言って三度起き上がろうとするが、その姿はまるで病人が無理をしている風にしか見えない。 「咲夜さん、失礼します」 「きゃっ!?」 彼女の背と膝の下に手を入れて抱きかかえるようにして立ち上がる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 「ちょ、○○! 下ろしなさい!」 「だめです。このまま部屋まで連れて行きます。で、場所は何処でしたっけ?」 じたばたと暴れていた咲夜さんだったが、逃げられないことを悟るとしゅんとして大人しくしてくれた。 「……そこを右に曲がって突き当たりの部屋が私の部屋よ」 「わかりました」 部屋のドアを開けて中に入り、ベットに咲夜さんを寝かせる。ここまでほんの少しの時間しか経ってないのに彼女は気を失っていた。 布団をかけて俺は永遠亭に足を運んだ。 「疲労ね。しかも疲れがとれてない状態でかなり無茶をしているわね。今日は一日休養を取らせなさい」 「わかった。ありがとう永琳」 永琳を見送ったあと部屋に入ると咲夜さんはベットから起き上がろうとしていたので慌ててベットに寝かす。 「と、とめないでちょうだい、まだ仕事が残ってるんだから……」 「駄目ですってば。今日一日はゆっくりしていなくちゃいけないって言われたばかりでしょう?」 「で、でも掃除が……」 「それは小悪魔とメイド妖精がやってくれてます」 「せ、洗濯もまだ……」 「美鈴が今干してます」 「う……それじゃあ料理にお嬢様のお世話は……」 「料理はパチュリー様が、お嬢様は自分でできることは自分でしてわからないことは明日聞くそうです。 あとお嬢様の言付けで、「咲夜にそんなに負担をかけていたなんて主失格ね。今日は一日休むこと。これは命令よ」とのことです」 「……わかったわ。で、あなたは何をするの?」 「咲夜さんの監視だそうです。放っておくと何かしら始めるだろうからそれを食い止めなさいって。実際起き上がろうとしてましたし」 「い、痛いとこ突いてくるわね……。わかった、今日は休養を取らせてもらうわ」 ようやく落ち着いて休みを取ってくれることになり、ほっと一安心だ。 が、何故か顔を赤くしてこちらをチラチラと見てくる。何だろう、何か言いたいことでもあるのだろうか? 「あ、あの○○……着替えたいのだけれど」 「あ、そ、そうですね、俺がここにいたら着替えられませんよね。じゃ外にいますので着替え終わりましたら声をかけてください」 ギクシャクとした動きで部屋の外に行き、声がかかるまで待つ。あー顔が熱い。 しばらくして、もういいわよと言われたので中に入ると部屋着に着替えた咲夜さんがベットに寝ていた。 「……こうして二人きりになるのは久しぶりね」 「そうですね、会ったとしても会話はほぼ仕事のことばかりでしたからね」 「ねぇ、何か話して」 「話っていってもこれといって面白いことはないですよ」 「それでもいいわ」 「ええそれじゃあこの間神社であったことなんですけど……」 ――少女、青年談笑中―― 「で、結局魔理沙が一番被害を被ったわけで」 「まあ、自業自得というやつね」 と、ドアをノックする音が聞こえたので開けるとそこには茶器を持った美鈴がいた。 「お見舞いにきちゃいました。大丈夫ですか? 咲夜さん」 「あんまり良くはないわね。ところでそれは何?」 「ふふふ、これは特製の漢方茶です。これさえ飲めばたちどころに疲れなんか吹き飛びますよ!」 「……美鈴、あんまり言いたくないけどそれ高麗人参とかガラナやにんにくなんて入れてないよね?」 「失礼ですね○○さん。普通のお茶ですよ。ささ、冷めないうちに飲みましょう」 テキパキとお茶の準備をする美鈴。普段は門番としての姿しか見ていないので手際のよさに驚いた。 それは咲夜さんも同じようだった。 そして彼女の淹れてくれたお茶を飲んでみる。ふむ、甘い香りが鼻を通り抜けお腹の中からぽかぽかと暖めてくれる。すごくおいしい。 けれどもこのお茶、めちゃくちゃ眠気を誘う。なんでもない俺が眠気を耐えるのが精一杯なほどだ。 咲夜さんの様子を覗うとうつらうつらとして心ここにあらずという状態だ。 「……○○さん、どうやら効いてきたみたいですね」 「美鈴いったい何したのさ」 「このお茶元々リラックス効果が高いんですが、寝つきを良くする茶葉を多めに入れてみたんですがどうやら成功したみたいですね」 「なるほど、その薬草の力で眠らせてしまおうってことだったのか」 お茶を飲み終えると美鈴は茶器を片付けると部屋を出て行ったがドアから顔を出してこっちを見ていたので 何かまだあるのかと思っていたらニヤニヤと笑いながら俺に話しかけてきた。 「○○さ~ん、いくら咲夜さんがぼ~っとしてるからってネチョいことしちゃダメですよ~」 「ばっ、誰がそんなことするかっ!!」 「きゃ~怒られた~」 まったくいつも一言多いんだからな美鈴は。 俺はベットの側に行き、咲夜さんに話しかけた。 「咲夜さん眠そうだから、俺はこれで失礼します。何かして欲しいことありますか?」 「えっと……それじゃあ」 布団で顔を半分隠して上目遣いでこう言った。 「……お休みのキスをちょうだい」 「ああ、お休みのキスですね。わかりました……ってええっ!?」 うう、急にそんなことを言われるとは思わなかった。 だっていつもは完全で瀟洒なあの咲夜さんが今は普通の女の子になっているんだぜ!? そしてさっきから軽く目をつぶっていつでもどうぞっていわんばかりの姿だし。 しかし、ここで期待に応えなければ男じゃない! 俺はおずおずと彼女に覆いかぶさり 「い、いきます」 「ん――」 彼女と唇をそっと合わせた。 「――これでいいですか?」 「うん、元気も貰ったし明日にはいつも通りになると思うわ」 「それはよかった」 「本当なら続きもしてあげたいんだけれどこんな状態じゃあね。だから元気になるまでお預け。 そうしたらキスもその先もいっぱいいっぱいしてあげるから」 「あ、あぅぅ……」 「あら、赤くなっちゃってかわいい。あふ……それじゃおやすみなさい」 すぅ、と咲夜さんの吐息が落ち着く。眠ってしまったようだ。 俺はドアと開けると咲夜さんを振り返って最後にこう告げた。 「お疲れ様です。メイド長」 静かにドアを閉めると部屋を後にした。 うpろだ1058 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館――――――――幻想郷に来てから身を寄せている場所だがここに来てまだ2年ほどだ。 待遇的には「傭兵」。とはいえ館内が主で外出は稀だ。 「○○。お疲れ様。悪いけどちょっと手伝ってくれる?」 十六夜咲夜。ここに来るきっかけになった人物だ。通称「咲夜さん」。 「了解。援軍が来たからには安心かと」 こういう仕事は慣れている。ここに来るまでこの傭兵の肩書きのおかげで多種多様な仕事をしてきた。 ちなみに今日の収穫は街で買った懐中時計。 「ふぅ…依頼終了と。ところでこのビー玉もどきの正体とか知らない?」 ここに来てからなぜか持っていた赤・青・緑・白・黄の「ビー玉もどき」。正直自分でもよくわからない。 「頭の中までは完璧じゃないし…図書館にでも行けばいいんじゃない?」 「あ。そっか…パチェならわかるかな」 夜が明けてから着替えて行ってみる。結構図書館には行く方だ。 ―――傭兵移動中&受講中――― ヴワル魔法図書館。幻想郷の中で本の量が一番多そうなこの館の書斎。ちゃんとノックはする。 「開いてるからどうぞ…ゲホっ…」 極端に短い相槌。パチュリー・ノーレッジ。この図書館の主で喘息持ち。見ていてハラハラする。 「珍しいモノ持ってるじゃない。興味深いから見せてくれる?取ったりしないから」 ………新手のカツアゲかこれは。流し目で見られると妙な緊張感が走る。いや…むしろ威圧感か。 見せてみると大体分かったのかジト目で話し出した。正直ジト目は怖いが結構いい話は期待できる。 「この5つの玉には霊獣が宿ってる…それぞれ強大な力を持つ霊獣がね。とりあえず座って」 霊獣なんて見たことも信じたこともなかった。淡々と話されるこの玉の能力。とりあえず座る。 「この4色…四神は今の状態で使えるけど黄色は今はダメ。下手すれば――死ぬ場合もあるから」 そんな現代で言えば核兵器やら放射能やら地雷原みたいな代物が混じってるとは思っても見なかった。 「この黄色い玉は麒麟…この子達のリーダー格…言って見れば頂点に君臨する存在」 黄色い玉はまだ無理だとしても意外に使える能力が多いことがわかっただけでも収穫だ。 「死にたくないならこれは絶対使わないこと。どんな状況でも。泣く人…いるでしょ?」 咲夜さんのことはバレてたらしい。紅魔館のブレインには及ばないか。 「守ってあげてね…あの子…ホントはすごく脆いから」 ここまで洞察力があると敬服どころか畏怖に値する。そろそろ戻るか。 ―――傭兵移動中――― 「どう?答えは出た?…何その目。この私と弾幕張ろうって目?」 「ちょっと四神の力ってのを試したくてさ。時間あれば軽くでいいから」 「アンタねぇ…後悔しても知らないからね。少し待って。用意してくるから」 場所は近くの森上空。早くも咲夜さんは本気モード。軽くヤバい。むしろ軽くない。ヘビーだ。空気的に。 「じゃあ…早めにチェックメイトにしてあげる。幻在『クロックコープス』!!」 「結構しっくり来るな…。朱雀『紅煉獄炎翔』!!」 飛んでくるナイフが炎で相殺されるが次の手が早い。相手に取って不足なしだ。 「アンタが敵じゃなくてよかったわ…ホントに。傷符『インクライブレッドソウル』!」 「まぁそれはお互いに!白虎『白刃裂風牙』!!」 ピンポイントでナイフを風で吹き飛ばして回避する。正直驚いた。さすがは霊獣。 「嘘…――――ふーん。じゃあ本気出すから。奇術『ミスディレクション』!」 「前から――後ろ!?手加減ナシか…玄武『翠林城塞砲』!!」 地面から林のような緑色の柱が立って全方位のナイフを防いだ後で左右に展開。その後砲撃。 「ここまでとはね…でもこれで最後。幻世『ザ・ワールド』――――その頑張りは認めてあげる」 「遠慮ナシだ!青龍『蒼穹逆鱗葬』!!―――――――――――――え?」 青い激流が暴走するが時を止められる。直立不動の金縛り。その隙に1つだけナイフが飛来する。 「チェックメイト。ほら。戻って傷口診るからさっさと立って」 「やっぱ敵わないか。この通り戦術的敗北だよ」 読まれていた。敢えてスペルを展開しこちらの手の内を探り最後の最後に時間を止めて一撃を見舞う。 「でも久々に苦戦したのは事実。その努力の成果は凄いって言えるから。でも麒麟は禁止。いい?」 「痛ぅ―――――…練習あるのみ…か。頑張らないとな」 それでも努力は認めてくれた。 「ジョーカーは…切り札は最後まで残しておくもの。力に頼り過ぎると必ずツケがくるの」 「それが今の状態…か。また一つ学んだよ」 紅魔館で手当てを受ける。パチェが麒麟のことを言ってくれたらしい。 それから自分に用意された休憩時間で各スペルの発動までのタイムラグを埋める。 1週間後―――――よりによって紅魔館の幹部クラスが咲夜さん以外留守の日に災厄は来た。 「アンノウン接近!妖怪の部類かと思われます!数…計り知れないです!!」 物見が叫ぶ。計り知れないなら上等だ。咲夜さんに内緒で先陣切ってアンノウンに向かう。 弾幕を張って応戦するが数が数。減る気配は皆無に等しい。スペルは一応温存しておく。 どうやら頼もしい援軍が来たらしい。というか門番どこ行った。戻ってきたら生存率めっさ低いぞ。 「○○!アンタはもう…この戦闘が終わったら一応覚悟はしておくこと――怪我したら許さないから」 「一応心配はしてくれるんだ?…了解。お手柔らかに!」 減らない。むしろ増えてきている。これがアンノウンの正体じゃない。これは『攻撃手段』――弾幕。 「ちょっとコレどこから湧いてくるの!?一向に減らないじゃない…ゴキブリ以上に性質悪いわ」 「これが敵ならとっくに消滅してる――本体を探して集中的に叩けばこれも消えるはず…!」 攻撃方法・正体・形状・特徴・弱点・そして存在全てが未知数にして未確認…正真正銘の「アンノウン」。 「攻撃が向こうに…咲夜さんに集中して…チィっ!霊獣『四神結界』!!」 相手の考えはアバウトにだが読めた。能力が高い方から潰す。シュミレーションゲームの鉄則だ。 「あ…ありがと…これに免じてさっきのはチャラにしてあげる」 助かった。とはいかないみたいだ。弾幕が止む。ボスの登場ということらしい。 「何コレ…ホントに妖怪!?やってやろうじゃない…!!」 ヒドラ。海蛇座のモデルになった9本の頭を持つ大蛇。こんな蛇が幻想入りしていたこと自体驚きだ。 「通りで弾幕が多いわけだ…早いとこ潰して終わらせる!」 とはいえ巨大さでは向こうが数段上だ。周期的にスペルを使って順調に首を落とす。 でも異変が一つ。咲夜さんが身震いしている。下手したら被弾しかねない。 ここは四神結界で防御させながら戦う。 朱雀「紅煉獄炎翔」。 白虎「白刃裂風牙」。 玄武「翠林城塞砲」。 青龍「蒼穹逆鱗葬」。 なんとか親首以外を叩き落として浄化したが少し力加減をミスったらしい。激痛が走る。 「万策尽きたってところかな…違うか。まだ手はある…よな。使ってみるか…麒麟」 単なる独り言。麒麟を使う。生死を賭けた大博打。聞こえて――ないな。 「ダメ…怪我したら許さ…ないって言っ…たでしょ…?」 目の前に気を取られすぎて後方が見えなかった。この掠れた声で思い浮かぶ状況は1つしかない。 結界がブチ破られていた――相当被弾しているはずなのにこんなバカを心配してくれる。 「下がってな…さい。すぐ…終わる…から」 無理だ。その傷で時間なんか止めたらその後無事じゃ済まない。 「関係ないね!――バカだからさ。ゴメン。フルパワーでぶっ放すから下がってた方がいいって」 持っていたナデシコの柄の袋を投げる。咲夜さんナイスキャッチ。 明日が満月。明後日は「十六夜」。いつも足引っ張ってドジ踏んで… それでも認めてくれるせめてものお礼。そのための懐中時計。 『守ってあげてね』――パチェから言われた一言。もちろんそのつもりだ。 「死んでも…知らない…。骨も…拾わない…!」 どんな顔かは声でわかる。 泣いてる顔は見たくない。だから振り向かずに。躊躇わずに。冷徹なる雷をこの手で目の前の災厄に。 「麒麟――――――『雷帝閃煌覇』――――――これで終わらせる」 雷が縦・横・斜め・正面から飛び交う。 ヤバい。意識が飛びそうだ。ここまで強大な雷は操作不可能で逆流しないのが唯一の救いだ。 まだ息絶えないか。あと少し…せめてあと一撃。あと一撃あれば確実に仕留められる。 「それじゃ…最終兵器の登場だ。ジョーカーってのは最後の最後で切るんだよ」 パチェの「賢者の石」を元にアレンジを加えた最後の「リーサルウェポン」。 特攻用に編み出したリミッター解除の最大出力。5つの神の真骨頂を融合させ覚醒させるスペル。 「何を!?それ以上やったら大怪我レベルじゃ済まない!まして麒麟を使った後に!」 最後の最後…むしろ最期にカッコつけさせてくれて感謝はしている。ここに来れてよかった。 「今はちょっと自分の限界ってヤツに挑みたいだけだから。この程度じゃ死なないって」 「この―――――――――――――――――バカ」 ターゲットは目の前のバケモノ。コイツだけは刺し違えても倒す。 「消滅させてやる――聖獣『破邪獣神結界』――まだ――神獣『五芒星滅殺陣』――デッドエンドだ」 これが限界突破の最終兵器。高威力かつ高火力の多段式波状攻撃。おまけに霊獣の加護つきときた。 ここまでは作戦通り。麒麟を呼ばないとこのスペルは使えない。だからあえて逆らってみた。 後はヒドラの浄化を見届ける。一応これで99.9%策は成った。 どうしても0・1%が欠ける策。むしろ99・9%が100%の策。 「明後日…生きてるか死んでるか…どっちかの0.1%に賭けてみるかな…」 意識が途切れる前の生命のコイントス。表か裏かで生死が分かれる。 最後の0.1%――それは自分が死んでも生きても達成される。その段階で初めて真の100%になる。 この策は敵を「ハメる」策でなく「殲滅する」策。いかなる犠牲を払っても。それが自分であっても。 咲夜さんの「誕生日」。わからないから毎年「十六夜月」の日に決めていた。今年は――無理かな。 せめて自力で渡したかったな――懐中時計。絶対泣いてるよ――。 それから何分…何時間…何日経ったのかわからないが目は覚めた。ここは…紅魔館。 「25時間…44分…35秒。――――――ホントに…ほっとけないんだから」 「持ってたんだ…懐中時計。ほら…死んでないし」 冷徹ないつもの声じゃない。泣いてるけど優しい声。 「また足引っ張っちゃったかな…痛ぇ!傷!傷開く!…でもまぁ…いっか」 抱きつかれたところが傷口だったのは言うまでもない。絶対わざとじゃないがこれはダメージがデカい。 それから約1日半。十六夜が出る日。まだ夜には早すぎるが。 「○○!!速効でケリつけて。まだ依頼はあるから覚悟することね」 ちょ…仮にだけど誕生日…今日だってこと確実に忘れてるなこれは。 それでもすれ違い様に呟いてみる。 「咲夜さん――――――誕生日―――――ーおめでと」 うpろだ1062 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「少し風邪でも引いたかな…」 紅魔館の自室でオフ時間に呟く。 いやリリーホワイトが「春ですよ~」とここまで伝えにきてくれるわけだが何しろ季節の変わり目だ。 「そろそろ戦線復帰ね。この頃調子悪そうだから仕事は多いけど軽めにシフト組んだから」 「了解…っと。やる事はさっさと片付けますか」 上司の咲夜さんが軽めにシフトを組んでくれたみたいで助かった。とはいえ仕事は多いが。各段階のメモが渡される。 「えーと…最初は庭の水やりと買い溜めした食糧を運ぶわけか」 ポケットに入れたビー玉もどき。たまにこの中から霊獣が手のひらサイズに実体化して出てくる。ちょっと可愛い。 ちょっと早めに終わらせる。これで第1段階と第2段階が同時に終わったわけだ。 「次は…え?借りてる本があるから図書館に返してくればいい?」 第3段階が私用っぽいがまぁ気にしない。箱で買った栄養ドリンクも1本出して持っていく。こういう時期に心配な人物が図書館に約1名。 「返却ならその棚に入れてくれればいいからね…差し入れありがと」 「いつも本貸してもらってるから粗品でゴメンな」 「そういえば麒麟も使えるようになったみたいじゃない?」 「お陰さまでこの通り」 …元気だな。パチェ。とりあえずまた本を借りて図書館を出る。自室に本を置いて第3段階終了。 「次が難関だな…紅茶の葉の分別。『葉脈で種類ごとに分けること』…」 第4段階で難易度一気に急上昇。これが難しいらしい。 「一応これで前半戦終了か。結局ボスクラスは最後に来るわけな」 約30分経過。ようやく半分だ。「感想は」とか聞かれたら即「長い」の一言で済むくらい地道な作業だ。 「結構な種類だったよなぁ…後半戦のメモでも貰いに行きますか」 一応は区切りがついて帰還。部屋の中でドサッと鈍い音がしたが物でも落ちたか。 「咲夜さーん?後半戦のメモもらいに――――――!?」 「カッコ悪いとこ見せたみたい…でも大丈夫」 「いやでも今倒れて…」 「大丈夫だって言ってるで…しょ」 そうだ。よく考えたら目の前にいつ倒れてもおかしくない上司がいたのに気付けない自分の洞察力のなさを呪いたい。 「大丈夫そうに見えないって!指示さえ貰えれば代わりくらいできるし部下の意見も聞かないと」 「部下にはできないことだってあるでしょ…」 よろけながら言われても正直説得力がない。だったら失敗してもできるところまで突き進むまで。 「何もしないよりマシかと思う」 「ホントにもう…優しすぎ。なら後半戦はカット。各段階ごとに終わったらここに来て。指示は○○に一任。夕食には復帰するから」 これまでにない大役。代理とはいえ咲夜さんの仕事を任されたわけだ。一人でできる事は極力こなす。 「慣れない事するとさすがにキツいな…これは」 この紅魔館には咲夜さんの部下のメイド精鋭部隊が30人以上いる。だがここはある意味戦場だ。言い出した以上は退けない。 「あと少しで夕食って…時間的にヤバいか…!進んじゃいるが指揮はキツいな…」 「時間よ止まれ――――――――――」 この声と能力は…どうやら援軍が来たみたいだ。一瞬背筋が凍りそうになった。 「まだ動いちゃダメなんじゃ…」 「お陰さまで完全復活。その子にも手伝ってもらうけどいい?」 「了解!」 丁度いいところに思い通りの指示。 「そして時は動き出す――――1、2班はすぐに食事の用意!3、4班はその補佐!周期的に状況を報告!5、6班は遊撃!」 早くも本領発揮。ここまで来ると威圧感がある。 「援護は任せるからよろしく。ここの火力が低いから上げて!」 「久しぶりに出しますか!炎符『ヴァーミリオンブレイズ』!」 ミニ朱雀大活躍。スペルの有効活用法…とは言えないか。正直なところは無駄遣いかもしれない。いや確実に無駄遣いだ。 そして無事に夕食終了。咲夜さんの声に一瞬ホントにビビった。 その後は普段と同じ。個人で入浴を済ませてその日の任務は完了だ。 「あれ…ダルいのが取れてる…」 「お疲れ様。あれだけ動いて汗かいたでしょ」 「ビビったなぁ…咲夜さんか」 いつの間にいたんだ…というツッコミはナシ。 「今日はホントによく耐えてくれたわ」 「100点中75点くらい…かな?」 「今回だけ96点にしてあげる」 何とも100点に近いとはいえ微妙な…いや…ここは素直に受け取ろう。 「じゃあ増えた21点はコイツに分けとこ」 そういえばフランとお嬢様がそろそろ起きてくる頃だ。 「「夜更かし決定!?」」 声がシンクロした。どこぞの紫色の暴走メカもビックリのタイミングで。目の前にはお嬢様が。 「あら…休まないの?2人して珍しい」 「休む暇があるなら借りの清算が先なので」 「たまには徹夜もいいかと思ってるんすよ」 言い方は違ってもほぼ内容的には同じだ。ここで前方から猛スピードで突っ込んでくる人物が。鳩尾に鉄拳がめり込む。二重の極みかこれは。 「あー!!○○ー!咲夜ぁー!今日はフランと遊べそう?」 「痛ぇ…今はフルじゃないから弾幕は無理な?余裕がある時には一戦頼む。ゴメンな?」 「ちぇー」 いやでも正直なところ弾幕はカンベンしてくれと言いたくなる。まぁそれでもフランは無邪気な分許せるが。 「じゃあ…チェスやろ!チェス!」 「地下室にあったっけか?確かなかったような…」 「フラン。私の部屋のチェスを貸すから心配しないで。壊さないこと。いい?あと紅茶が飲みたいわ」 「お嬢様。用意ならここに」 とまぁお嬢様の部屋でお茶会決定。さすがにフランを封じる策も考えているらしい。 「フラン…もう一度言うけど壊さないこと。―――いい?もし万が一壊したらその時は…分かるわね?グングニル投げるから」 「ひっ―――!?」 「返事は…?」 「はい…」 お嬢様すげぇ。すーげーぇ!何だいそのボムは!?フランが涙目に。心の中で思った。「フランを止められるのはこの人しかいない」と。 「じゃフランと一回やって!いいでしょ?」 「久しぶりだな…チェス。頑張ってみるかな」 そんなこんなで30分後。 「ほい。チェックメイト」 「えー!?○○つーよーいー!!手加減してくれなきゃこの部屋ブッ壊すかんねー!!」 ここでまさかの衝撃発言。それは言っちゃダメだ。そして逃げちゃダメだ。その奥から冷たいお嬢様の声が。これはキレてるぞ…!? 「フラン…?今何て言ったかもう一回言ってみなさい」 「え――――?」 「ゆっくりと一字一句滞りなく私に聞こえるようにハッキリとね。グングニル投げられたくないでしょ」 「うん…。でもフランは…まだ…何も…」 「嘘吐きは――――弾幕の始まりよ。グングニルの破壊力はフランが一番よく知ってるはず…私の能力もね」 「ふぇぇぇ…」 「ただの冗談。真っ直ぐなのもいいけどもっと周りを見なさい。私の部屋を残骸にする気?」 いやそこは弾幕じゃなくて泥棒だろ。しかも冗談とは言っているが声がマジだ。 「マズいわ…この部屋より先に私達が残骸になる…○○…逃げる用意はいい?頭の中で3回数えたら一気に壁際に下がるから。できる?」 「勿論…感覚はまだあるみたいで」 ((1…2…3!!)) 一応咲夜さんと壁際に退避。一方フランは半ベソ状態だ。 「ごめん゛…なざい゛…」 「気にしないの。悔しいのは分かるけどその気持ちをぶつける相手が違うでしょ…?」 あー。泣かせたー。でも優しいところは初めて見た。気持ちよか先にグングニルをぶつける相手がまず違うだろと自虐的ながらも心の中でツッコんでおく。 「咲夜さん…いつもこんなん?」 「そ。喧嘩しない分まだマシよ…本気で喧嘩した日には阿鼻叫喚の地獄絵図なんだから。生きた心地しないもの」 咲夜さんの苦労が分かった気がする。ここまで言わせるんだから相当ヤバいと思われる。 「○○…フランの仇を取らせてもらおうかしらね?」 「…ハイ?これ何て死亡フラグ?」 「行ってきなさい。骨は拾ってあげるから」 「え!?ちょ…咲夜さん!?――――チェスで特攻…か」 チェスでこんな威圧感を感じたのは生まれてこの方初めてだ。 かれこれ20分後。 「チェックメイト。フラン…仇は討ったからね」 「お嬢様…ちょっとは手加減を…」 「絶 対 ヤ ダ」 大人気ないことこの上ない。仮にも相当年上だろ。…とは言えない。言った時点で人生がゲームオーバーだ。ここで意外な来客が。 「随分とまぁ…派手に騒いでるじゃない…寝れやしないわ。ねぇ?レミィ?ここで提案があるんだけど」 「提案って…パチェのは理不尽な条件が多いけど聞くだけ聞くわ」 「ベリーインレイクかプリンセスウンディネならどっちがいい?制限時間は2分。答えが出ない場合は両方ぶっ放すわ」 「パチェ…それ私に喧嘩売ってるの?水は吸血鬼の天敵だってのに」 ちょ…パチェ!?その一言でここが阿鼻叫喚の地獄絵図三つ巴バージョンになりかねないのに何てことを…!! 「嫌なら混ぜて。それが条件」 「最初からそう言えばいいのに…」 うーわー…パチェがドス黒い。お嬢様の表情が引きつってる。ある意味で紅魔館最強かもしれない。 「ふーん…チェスね…咲夜。一戦だけ相手お願いできる?」 「――――へ!?私…ですか!?」 ドサクサに紛れてマヌケな声が聞こえた気がするが気にしない気にしない。 「それと時間巻き戻したりしたら秘密を大暴露するからよろしくね」 「秘密って何ですか!?」 どこまで黒いんだよ今日のパチェは…。そして30分後。 「はい。チェックメイト」 「秘密の件は…」 「最初から秘密なんて知らないけど?でもその顔は…ねぇ?」 「何もないですっ!」 ここでも静かな戦闘が終わったらしい。何だこの紫孔明は。咲夜さんが押されてる。 「この本…結構面白いの。歴史が元ネタでね」 「はぁ…」 そしてさらに意外すぎる人物が。例えれば集合写真の端っこに欠席者で写っている感じだ。 「寒ぅ~…声くらいかけてくれても…」 中g…違う。危ない危ない。美鈴がここに来るのが意外だ。 「「「「「あ。忘れてた」」」」」 「うぅ…酷い…」 そこに魔の手が。フランの目が輝いてるということは… 「あぁー!美鈴!外行って遊ぼ!外!ねーぇー!外行かなきゃ地下室で弾幕やーりーたーいー!」 「はぁ…って…そんな「泣くからね」みたいな目はやめてください!」 やっぱりな。そして美鈴はフランに引きずられて戦場に。敬礼。 「ちょ…助け…お嬢様ー!咲夜さーん!パチュリー様ー!○○ー!まだ逝きたくないですよぉー!!」 「普段の失態を返上するチャンスと思うことね。勝てたらチャラにしてあげる」 「少しフランと遊んであげて。全力出してもいいから」 「門番なんだし…図書館の本の整理より退屈しないと思うけど」 うわ酷ぇ。ここで否定的な意見出したらグングニルと殺人ドールと賢者の石が炸裂するかもしれない。 ――外―― 「遊んでくれてもいーじゃんケチー!禁忌『レーヴァテイン』!!」 「悲しいけどこれ…弾幕なのよね…」 「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「嫌……アッ――――!!!!」 ――中―― 「ちょ…咲夜さん…今すげぇ悲鳴聞こえたんだけど大丈夫かね…」 「美鈴はあれでも妖怪らしいからあの程度じゃ死なないでしょ。後で包帯とか持ってくけど」 サラッと惨いことを…でもこれだけ言わせるんだ。それだけ強いんだと思う。 「ただいまー!ふぁ~…ぁ…眠い…ちょっと寝てくるね」 「この紅美鈴…帰還…もとい生還…しまし…た…」 「そろそろ図書館開けなきゃいけないから私はこれで退散するわ」 「朝食まで私も少し仮眠取るわ」 お疲れ様。美鈴すげぇ。レーヴァテインに耐えてる。ボロボロだが。 そして個人でバラバラに散開してお茶会終了。 午前6時。もう明るい。 「では朝食の用意をしますので。○○。手伝って。美鈴は任務に戻ること」 「「り…了解!」」 ナイスフォロー。あのお嬢様の威圧感はもう物理的な領域だ。指先一つでダウンどころの騒ぎじゃないぞアレは。ニュータイプか? 「助かった…」 「私より先に死なれちゃ困るもの…別に…心配だからじゃないからね。アンタも十分悪運強いんだから」 悟った。ツンデレ属性潜伏中だな。 「今日は昨日の後半戦も含めるからよろしくね」 「え゛…!?」 「さっき『もう少しで上司の秘密を握れるぜ』みたいな顔したからその罰よ」 「そんな理不尽な…」 「アンタ文句あるわけ!?あるなら操りドールと殺人ドールの2択から末路を選ぶことね。上司に殉じられるなら本望でしょ?」 「皆無です!」 「ならよし」 今日はホントにくたばる可能性が大きいな。 まぁ…賑やかだし飽きないからそれもいいか。 うpろだ1126 ─────────────────────────────────────────────────────────── 暖かな風が桜の花弁を舞わせる頃になった。 春が、幻想郷にやってきていたのだ。 そんなある日、博麗神社では宴会が開かれていた。 目的は言うまでも無く、夜桜。 夜桜の宴。 人妖が集う、美しく華やかな宴―― そして賑やかな宴ならば、それに裏方がいるのもまた道理。 ○○は酒の肴の追加を作りながら、新しい皿や椀を準備していた。 「ふう、こんなものかな」 勝手知ったる――とまでは行かないが、宴会の度にその腕を振るっているので、博麗神社の台所はよくわかっている。 それに、今は紅魔館で執事染みたことをやっているが、そうなるまでの少しの間、ここで世話になっていたこともあった。 出来上がった料理を皿に適当に盛ったところで、戸口の方から彼に声が掛かる。 「お疲れさま、追加は出来た?」 「ええ、咲夜さんもお疲れさまです。はい、こちらが」 声の主は咲夜だった。片付けの分なのか、皿と空き瓶を幾つか抱えている。すぐに重そうなそれを受け取って、代わりに料理を渡した。 「宴も酣ですから、逆に軽めのものに」 「そうね、その方が良いかも。だいぶ出来上がってる面子も多いしね」 「咲夜さんは?」 「今回はあまり飲んでないから。貴方も?」 「料理がすぐに無くなってますからね。少し飲んではこちらに、と言ったところですか」 皿を水に漬けながら、○○は少し迷った後、こう提案した。 「もし宜しければ、それを置いてきた後で一献どうですか?」 「え?」 「いや、まあ、その、ゆっくり桜を楽しむ余裕もそろそろ出来そうですし、どうせなら、と」 少し慌てたように言葉を探す○○を見て、咲夜は軽く微笑する。 「いいわよ。ただ、お嬢様方の様子を見てからになるけれど」 「あ、はい、大丈夫です。では、何か肴を用意してますね」 「ええ」 去っていく咲夜を見送った後、○○は簡単なつまみを用意することにした。 小半刻の後、咲夜と○○は二人して宴の片隅に腰を下ろしていた。 「いや、絶景ですねえ」 「そうね、毎年のことだけど、やっぱり綺麗だと思うわ……外は、違うのかしら?」 「今、これほどの桜を、こんなに落ち着いて見れる場所がどれほどあるか――僕は、知らないです」 そう言って、彼は徳利を掲げ、咲夜の手にしている小さな猪口にそっと注いだ。 「メイドに御猪口というのも、妙な組み合わせですね」 「これしかなかったものね。はい、貴方にも」 「ありがとうございます」 ○○の手にある盃に、咲夜が酒を注ぐ。軽く挙げて、乾杯の代わりにした。 一口喉に流し込んで、○○は空を仰いで大きく息をついた。満天の星に十六夜月、それに映える夜桜。 「しかし良い気分です。良い月夜に夜桜、旨い酒に……それに何より、こうして咲夜さんと一緒に居られて、本当に言うこと無いですね」 「あら、もう酔ったのかしら?」 「まだ素面のつもりですけれど」 その返答にくすくすと微笑って、咲夜も猪口を傾けた。 「貴方はあまり強くないんだから、程ほどにね。あの酔っ払い達の様子を見るに、後片付けが回ってくるのは必至よ?」 「大丈夫ですって」 そう言いつつ手酌をしようとした○○の手を遮って、咲夜が盃に注ぎ足す。 「いいけれどね。酔っ払った貴方は面白いし」 「……それ言われると逆に酔えなくなりますが。何してるんですか僕」 「さあ、何でしょうね?」 楽しそうに、咲夜ははぐらかした。やれやれと思うが、どうやらこのささやかな二人飲みを気に入ってはくれているようで、ほっと胸を撫で下ろす。 「何かやらかし始めたら止めてくださいよ?」 「大丈夫、いざとなったらナイフで止めてあげるから」 「それ止まるのは息の根ですよね?」 じゃれあうような会話をしながら、○○もまた咲夜に酒を勧める。 「咲夜さん、どうぞ」 「ええ、ありがとう」 喧騒を少し離れた、どこか静かな夜桜見。 「心地良い、わね」 「ええ」 何気ない会話を交わしてると、不意に、咲夜が肩に寄り添ってきた。 「さ、咲夜さん?」 「少し、こうしていてもいいかしら」 「……ええ、いくらでも。他ならぬ貴女のお願いですし」 「ふふ、ありがとう」 喧騒が遠い。静かに何も言わず、二人で桜を見上げる。 天には月、地には桜、手には盃、傍らには愛し人。 君、何を以って愉しまざるや。 静かな時間も、杯を重ねるうちに少し変化が起こる。 「あれ……」 「飲みすぎね」 ぐら、と○○の身体が揺れる。瞳に酒精が混じっていた。 「やっぱり、弱いわね」 「申し訳ない……」 「いいわよ、ほら」 咲夜は微笑うと、膝の上に○○の頭を乗せた。 「これで落ち着くかしら?」 「ありがとう……」 うとうとし始めた○○の頭を撫でてやると、すぐに寝息を立て始めた。 この青年はある程度酔うと、前後不覚になるよりも先に寝入ってしまう。 年上の癖に、寝るとあどけない少年のようで、何となく微笑ましくて。 「貴方のこんな姿なんて、こういう時でもないと見れないものね」 眠る彼に向かって、優しい言葉をかける。 宴席の喧騒も、少しずつ小さくなってきた。酔いつぶれた者、まだ静かに呑んでいる者、様々なのだろう。 直に宴も終わる。そうすれば、また彼女達の仕事も出てくるだろう。 だからせめてそれまでは、穏やかに眠る愛しい人と夜桜を、独り占めにしてしまおう。 舞い散る夜桜を眺めながら、咲夜は心の中だけでそう呟いた。 うpろだ1086 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「咲夜さん」 紅魔館の長い廊下、その窓を磨くのも私の仕事だ 少しとおくから、呼ばれた 「あ、○○さん・・・どうしました?」 彼は日光に当たらないように廊下の曲がり角から顔だけ出して、私を呼んでいた 「いえ、救ちゃんから言伝を頼まれまして」 窓を磨いていた手を止め、彼の元まで歩いていった そして廊下の影までいくと、彼は申し訳なさそうに、頭を下げた 「スイマセン、面倒な身体で」 何を今更、もうなれたことだし、仕方のないことだ 「・・・それで、あの子は何て?」 「ええと・・・包帯やらなんやらのストックがなくなってきたので確認に来てできればそのまま買いに行ってください、だそうです」 「ああ、そろそろだと思ってもう注文しておいたわ」 そろそろかと思い注文だけはしていたのだが、実に丁度良いタイミングだった 「流石ですねメイド長」 「まぁ、ね・・・もう慣れたわ」 自分を最強だと疑わず、自らを超える力がないと、決め付けていた ここに来るまでは 生き死にを超越する、運命を操る、万物境界をいじる 驚きと絶望の連続、そして それにすら慣れて、この世界で、生きている自分がいる 「咲夜さん?」 「・・・なんでもないわ」 目の前の彼もだ どうやって吸血鬼に成ったかは知らないが、なんとも吸血鬼らしくない、頼りない、弱い でも、彼のような存在は、私にとって・・・何かとても新鮮だった 「さーくやさーん」 「・・・ねぇ○○さん、この後時間いいかしら?」 「?別に構いませんが・・・」 「一度貴方とはじっくり話して見たいと思ってたんだけどね」 なかなか時間が無くてね、と彼女は笑った 女性の部屋に入るのはすごく、緊張する しかし部屋に招かれるとは思ってなかった 「ほら、貴方も飲んだら?」 咲夜さん、真っ昼間から強そうな酒飲んでますね(棒読み 「だいたい貴方ねぇ、妹様以外の吸血鬼がここに居られるって事がどういうことかわかってる?」 とっくに酔ってるのか、いつもより饒舌な気がした 「歯牙にもかけないということ・・・ですか?」 「そう、その通りよ」 そして興味半分おふざけ半分で、俺を雇っている 彼女の興味の対象は、俺がいかにして、成ったか 「ほら、飲みなさい」 奨められるがままに酒を飲まされた 喉が焼ける、そう思ったとき、グラスを彼女と共有している事に気がついた 唇に変な感触、口紅?いやリップクリームか・・・へ? 「あら、顔が真っ赤よ?もう酔ったの?」 うぁ、メイド長の顔が、近くに 丸いテーブルに手を着いて、俺のほうに身を乗り出して 手の着きどころが悪かったのか、テーブルが古かったのか 俺のほうにつんのめる様に、倒れこんできた ひっくり返るテーブル、滑っていくボトル 転がるグラス、酒を飲んで鈍くなったのか、彼女の力が発動する気配が無い やけに速い頭の回転と、ゆっくり流れる周りの光景 ボトルを掴んで、グラスは、届かない 何より、こっちに飛び込んでくる咲夜さんを がこっ、どすん、パリーン 「・・・」 「・・・なんとか、なるもんだ」 放心したように、と言うかそのものか、ぽーっとしている咲夜さん 俺は椅子に座ったまま、咲夜さんを身体で受け止めて、左手でボトルを持ったこの状況 固まって動けない 「あ・・・○○・・・あ、ありがと」 「い、いえ・・・怪我は無いですか?」 頼りないと思っていた彼の身体は、大きくて 包み込まれるような感覚、ドキドキと早い鼓動 吊橋効果と言う奴か、危ない状況と、異性との接触が重なって、でもこれは 「・・・咲夜さん?もしかして立てませんか?」 「え?・・・ぁうっ!?」 自分が今彼に抱きついて、ぽーっとしている状況をやっと理解し、驚いて、飛びのいた 「さ、咲夜さん?大丈夫なんですか?」 ちがう、このドキドキは、火照った身体は、そんな感情じゃ無い 私が、そんなありえない、こんな拍子に、彼に対して、そんな気持ちを 「○、○・・・」 「さ、咲夜さん?」 心配そうに見つめる彼の目が、止めだった 「ご、ごめんなさいっっ!!」 脱兎の如く部屋を飛び出た 彼の驚いたような声と、引き止める台詞 それを聞こえなかった振りをして、逃げた 初めて感じた、感情に戸惑い、竦んでしまった 彼が追ってこないようにと、日当たりのいい中庭ににげこんだ 「なんなのよ、これは」 これじゃあまるで、物語の中の少女のようだ、と 自分には一切関係ない、そう思っていたのに 「○、○さん」 彼の顔を思い出しただけで、顔がかぁっと熱くなった 数分、数十分前まで、大して意識していなかった相手を たった一度の接触で、こんなことになるなんて いや、彼がここに来た時から、意識はしていた 唯一の男手、出来損ない そうか、意識はしていたんだ それの方向性と、見る位置が変わった 嗚呼、なんだか面倒なことになってしまった よりによって同じ職場、顔を合わせないわけにも行かないのだ どうにか明日までには、この惚けた頭が、冷める事を祈るしかないようだ うpろだ1123 ─────────────────────────────────────────────────────────── ペットのヤドカリを観察する時、俺は床にへばりついて横から観察する。そんな 観察をしている時、部屋に咲夜さんが入ってきた。 「ん?何してるの○○?」 「ああ。咲夜さん。ヤドカリの観察ですよ。」 むぅ。この角度からスカートの下はおろか顔さえ見えんな。とりあえず起きあが る。 「そう。面白い?」 「ええまあ。俺のペットなんで。」 「ふーん。じゃ、私も観察させて欲しいわね。」 「どうぞどうぞ」 断る理由は無いだろうし。ヤドカリを踏まないように俺は後ろに退いた。 「んじゃ、お邪魔するわね。」 さっきの俺みたいに床にへばりついて横から観察する咲夜さん。なぜだか微笑ま しい。咲夜さんも結構楽しいらしく。ヤドカリを弱くツンツンしながら笑顔を見せ ていた。 「ん?」 待てよ。落ち着け○○。咲夜さんは、今床にへばりついている。そして咲夜さん はミニスカだ。つまり、これは視線を下に落としたら見える物がある。そうか。こ れは俺が無意識のうちに立てた計画だったのだ!!!1!! 「フフフ。計画通り・・・」 「?」 ようし。ならばその色が何色か見せて頂こうじゃあありませんか。どれどれー。 お? 「白か・・・」 「?!」 しまった。つい口に出してしまった。ヤバィ。これはヤバィ。 「○○・・・」 「いや、これはですね。あの」 何というか。その赤面しつつすぐに起き上がろうとしてずっこけそうになる姿た まりません。はい。 ん?俺何考えてるんだ?咲夜さんは鬼の様な形相をしているじゃないか。さっさ と言い訳を考えて素数を数えなければ・・・1、2、3、5、7、⑨・・・あれ? だが咲夜さんはその鬼の様な形相を解いてため息を吐いた。 「・・・。まあいいわ。○○なら。どうせ見られるの覚悟でやった訳だし。」 「へ?」 ん?「○○なら」?。ん。これはまさかの咲夜さんフラグktkr? 俺は脳内を整理しながら警戒を解く。咲夜さんはにっこりと笑っていた。 そして、 ・・・その次の言葉を俺は理解する時間さえ与えられなかった。 「殺人ドール一発だけで許してあげる。」 にっこりとした笑みが不敵な笑みへと変貌を遂げる。そして俺の周りに発生する 無数の青や赤の柄のナイフ達。 外の世界のお母さん。お父さん。僕はもうオシマイみたいです。 アッー! うpろだ1157 ───────────────────────────────────────────────────────────
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咲夜11 11スレ目 721 3,2,1・・・はっぴぃニュウイヤァァ!! ラジオから流れているらしい音、ちょっと気になって覗いたのがいけなかった 彼女は俺が見ているのに気付いていないのかカウントダウンの瞬間にジャンプした 「・・・俗に言う年が変わる瞬間に地球に~とか言う奴か?」 こちらに気付いた様子はなくラジオから流れる曲に鼻歌で合わせたりしている 「咲夜さん?こんな時間にご苦労様です」 「え?あ、○○さん、こんばんは」 手元には・・・何処からどう見てもおせちだな 「おせち料理ですか」 「ええ、霊夢が面倒だから頼むとか言うし、お嬢様も食べてみたいとおっしゃるものだから・・・」 こんな時間まで頑張って作ってるというわけか 「それで一人寂しく年を越す瞬間を満喫してたわけですね」 「・・・・・・み、見てたんですか?」 「いや、私が見たのは年が変わる瞬間にジャンプして地球にいなかったとか言う子供のようなむぐぉ」 いきなり口に卵焼きを押し込まれた 「だ、誰にも秘密ですからねっ!」 「むぐむぐ・・・了解・・・ちょっと甘めですね」 「ちょっと砂糖を入れすぎたかしら?」 「ですね、まぁ俺はこれぐらいのほうが好きですけど」 焦げ目も無く綺麗に巻かれた卵焼き 他の料理を見ても日本食が下手ではない事が解る 「咲夜さんって家庭的だよね、料理も掃除も、家事全般ばっちぐーですもんね」 「まぁ・・・仕事だから」 「凄くいい嫁さんになれますよ」 「あ、ありがと・・・まぁ相手がいなきゃ結婚はできないけどね」 「相手?そんな山ほどいるでしょう?」 「あら?お世辞言っても何もでないわよ?」 といいつつ豆みたいなものを一口くれた、鶯?とても甘い 若干機嫌もよさそうな気がする 「少なくとも一人はいますよ」 「あら、何処のどなた?」 「貴女の目の前の俺」 きょとんと、目を丸くしている咲夜さん お得意の時間を止めるのが自分に作用しているように、ぴたりと動きが止まった 「え、あ・・・し、新年早々たちの悪い冗談は」 まな板に向かう咲夜を後ろから抱きしめた 握っていた包丁や里芋が鈍い音を立てて落ちる 「・・・嫌なら行動より言葉でお願いしますね、年明けて速攻串刺しは嫌ですから」 「今日は・・・冷えますね」 「?」 「もっと・・・その・・・ぎゅってしてくれますか?」 もう少し体を密着させて、抱きしめる力を強めた 「あー・・・咲夜さん」 「なんですか?」 「今年も・・・よろしく」 「は、はい!こちらこそふふ不束ものですがど、どうぞ宜しくお願いします!」 人生最高の年越し そして人生最高の元旦(予定 来年もこうして彼女と過ごす事が出来れば、それが最高のお年玉だろう ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 992 たったの一言だけ・・・ 咲夜さん・・・貴方を愛しています。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 320 「○○さーん、ちょっと荷物を・・・」 「ほいほい、何処に運びましょうか?」 頼まれた大型荷物を倉庫やら私室やらに運んでいく お役に立てるのはこれぐらいしかないのだ 「ありがとうございました・・・すいません色々押し付けちゃって」 「いえいえ、いいんですよ・・・これぐらいでしかお役に立てませんから」 「そんなこと・・・ないですよ」 残念ながら自分のことは自分が一番解っている 掃除も料理も満足に出来ない私では荷物運びか夜の見回り警護くらいしかできない 昼間出歩ければもう少し何か出来るのだろうが・・・ 「○○さんが毎朝起こしてくれて皆助かってますし、気持ちよく挨拶してくれるから、皆喜んでます・・・ 夜だって今まで交代でやってた見回りを全部お任せできて楽になりましたし、今まで運べなかった家具とか お嬢様の気まぐれの模様替えとか、とても助かってます、○○さんがいないと、みんな困ります・・・だから・・・」 早口でいろいろ一気に言われたのでちょっと混乱した でも彼女の一所懸命な気持ちが伝わってきて、瞼が熱くなった、でも頑張って我慢した 感極まって、気がついたら抱きしめていた 「あ・・・」 行動の後にしまった、早まったなんて思った 殺人ドール?俺終了のお知らせ? しかし、予想に反して咲夜さんは抱き返してきた、柔らかい体の感触に、鼓動が早まるのが解った 「・・・私も、○○さんが居ないと駄目だから・・・一緒に頑張ってくれますか?」 「は、はい・・・もちろん・・・一緒に、頑張ります」 彼女が一緒なら、頑張れる、頑張っちゃう、張り切って相当頑張れる だから、彼女と二人三脚で、いっそ抱えて走るぐらいの勢いで頑張ろう 「咲夜さん」 「・・・なに?」 「これから・・・咲夜さんのために頑張らせてください」 「わ、私も・・・○○さんのために頑張りますからっ」 誰かに望まれて、必要とされて、居場所がある、それはとても素晴しい事だ そして私が望む人が、それに応えてくれる それは最高に素敵で、幸せな事に違いない ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 567 「お嬢様の花婿候補になりましたから修業を兼ねて私が色々教えて差し上げますね」 とか口実に咲夜さんと暮らす夢を見た。 色々って本当に色々なんだがとりあえず、 二人羽織だった。 やっぱりあれはパッドじゃないね。 「残念ながらお嬢様は貴方を選ばなかった様です。あんな事した責任取りますね」以下略 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 960 うpろだ899 「咲夜さん、ちょっとお時間よろしいですか?」 「ん?いいけど・・・」 ある晴れた日のことでした お嬢様の部屋の掃除を終え、洗濯物を洗い場に持っていこうというときでした 周りをキョロキョロと見回しながら現れた○○さん 彼は私を探していた様で、私のほうへ駆け寄ってきました 何の用事かは知らないけれど、彼の表情が真剣だったのでとりあえず仕事を中断し、彼についていくことにした つれてこられたのは中庭 ちょうど日も昇って暖かい 「それで・・・何の用事ですか?」 「・・・咲夜さん、私は・・・貴方の事が好きです、宜しければ・・・お付き合いしてください」 「・・・・・・・・・」 私は頭が真っ白になってしまった 人間は予想だにしない出来事が起こると、その状況を受け入れようとしない 「咲夜・・・さん?」 「え、あ、うぁ・・・・・っ!」 なにを思ったか、私は脱兎の如く、その場から逃げ出した 「ちょ!?咲夜さん!!?」 「ふぅん、それで・・・混乱して逃げてきたわけね」 今日も変わらず、本を読んでいた いつもと違う事と言えば・・・咲夜が取り乱して図書館に逃げ逃げ込んできた事ぐらいかしら 訳を聞いてみればなにやら訳の解らない状況になっているではないか 「頭が真っ白になっちゃって・・・気がついたら走り出してて・・・「パチュリー様ッ!」 図書館のドアが乱暴に開けられた、それと同時に低い、聞きなれた声が聞こえた 「ああっ!いらっしゃった!!」 反射的に逃げ出そうとした咲夜の襟を掴んで、○○の方へと向き直らせた 「くぁwsでrtgyふじこ」 「落ち着きなさい、ほらほら、○○もしっかり抑えて」 「ぱぱぱパチュリー様!離して下さいっ」 面倒なので咲夜の後頭部をつかんで○○と向き合わせ 「咲夜、落ち着いて・・・○○と目を合わせなさい」 「・・・・・・」 「咲夜さん・・・」 あらあら、体温が上がっている、耳も赤い こちらからは見えないがきっと顔はもっと真っ赤になっているだろう 「咲夜、貴方は○○の事はどうなの?」 「どどどどどうといわれましても」 「・・・○○の事、好きか嫌いか大好きかで答えなさい」 「パチュリー様、そ「○○は黙ってなさいっ!」 「わ、私は・・・その・・・・・・だ、大す、き・・・です」 よし、言った やっと言った まったく、その一言の為にどれだけの手間をかけさせるというのかしら 「さ、咲夜さん・・・お、俺も大すk「終わったなら出て行ってくれるかしら?静かに本を読みたいし・・・ここでいちゃつかれても困るわ」 幸せオーラに包まれている二人を外に追いやり、読書に戻ろうとした 「・・・疲れた」 他人の恋路なんて応援しても残るのは疲労と、ちょっとした安心感 「はぁ、誰か私の恋路を応援してくれないかしら」 言っては見たものの相手を見つけるところからはじめなきゃいけないなぁ 「たまには里にでも行ってみようかしら・・・なんてね」 そのときは下らない考えだと思ったパチュリーだが 咲夜と○○を見ているうちに恋人ウラヤマシスと思い、里まで出かける決意をするのだが、それはまた別のお話 終ワル ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 938 うpろだ909 バレンタイン。 それはある種のきっかけと成り得るものだ。 例えば、愛を告げるためのきっかけ。あるいは、お世話になった人へ感謝の思いを伝えるためのきっかけ。 さらに、たくさんのお返しをもらうためのきっかけ、というものもある。 私、十六夜咲夜にとっても今日は一つのきっかけとなるはずだった。 そう……、好きな男性に想いを伝えるための……。 最初は、ここで働くようになった外の世界から来た人間、というぐらいの認識しかなかった。 しかし、いつからか彼のことを目で追うようになっていた。 それだけでなく、いつも彼のことを考えるようになった。 今日は一度も話せなかった。今日は彼と手が触れた。今日は彼の笑顔が見られた。考え出すときりがない。 そして、彼の事を考えれば考えるほど、鼓動が速くなり、顔が赤くなる。 ああ、そうだ。私は彼に恋をしているのだ。そのことに気がついたとき、私は目に見える世界の全てが素晴らしいものであるように感じた。 それからは仕事が忙しいこともあり、その仲はあまり進展しなかった。 そんな私にとって今日という日は絶好のチャンスだった。けれど……。 私は溜息を吐き、机の上に置かれた箱に目をやった。 それは赤いチェック模様の紙に包まれ、薄いピンクのリボンが巻かれてある。 これは今日の朝に、他ならぬ○○から受け取ったものだ。 曰く、日頃のお礼です、だそうだ。 バレンタインは女性から男性へ贈り物をする日ではないかと問えば、男でもお世話になった人に渡す人はいますよ、と。 私自身も、他のメイド達からチョコを受け取ったことがあり、そのことは理解できなくもない。 しかし、お世話になった人、彼の中での私の評価がその位置にあるという事実は、私の小さな決意を打ち砕くには十分だった。 いや、今一度考えてもみれば、私が一方的に好意を抱いていただけなのだ。 このことで彼を責めるのは酷と言える。 だが、私はどうやってこの沈んだ気持ちに整理をつければいいのだろうか? 私は椅子に深くもたれかけて、両手を上げ、大きく体を伸ばした。 懐から取り出した時計を見ると、昼休みも残り十五分といったところだった。 いや、まだきっとチャンスはある。 今日伝えることはできないが、いつかは伝えられるだろう……。 と、私は顔を左右に振り、その思考を否定する。 今まで、そんな風に考えていて、想いを伝えられなかったことを忘れたのか。 だから、今日という日に賭けたのではなかったのか。 しかし、それも……。 考えれば考える程、思考はどうどうめぐりを繰り返す。 まるで、夜霧に迷い、行き場所がわからなくなってしまったみたいだ。 いくら考えても埒があかない。 何度目かの思考でようやく気付いた私は、とりあえず気を紛らわせるために、彼からの贈り物を開けてみることにした。 リボンを外し、包装を丁寧に剥がす。中から現れたのは品の良い白い小箱。 私はさらに小箱のふたを開けた。 中に入っていたのは、六種類の小さなチョコレート。 どれも綺麗な形で、それでいてそのどれもが違う形をしていた。 もしかしたら、中に入っているものや、味が違うのかもしれない。 そこで私は初めて、ふたの裏側に二つ折にされた小さなカードが貼り付けてあるのに気がついた。 私はそれを手に取り、開いて読み始めた。 十六夜咲夜さんへ 今回、私は自分の想いを伝えるために、このような手段を取らせて頂きました。 その不甲斐無さを笑って頂いても構いません。 しかし、それでもあなたに伝えたいことがあるのです。 私はあなたのことが好きです。 初めて会ったときから、あなたのことが好きでした。 そして、その想いは日増しに強くなっていきました。 あなたの凛とした姿、時折見せる優しさ、全てが好きです。 あなたにとっては、いきなりのことで驚かれたと思います。 けれど、もし良ければ返事を下さい。 ○○より その文章はとてもぎこちないものだった。けれど、誰よりも丁寧に書かれたものであることは理解できた。 私はそれを読み終えたとき、自分の顔がこれまでにないくらい紅潮していくのを感じた。 何というか、ストレート過ぎるというか、思ってもみなかったというか、さっきまで悩んでいたのが馬鹿みたいというか。 しかし、私は今間違いなく、嬉しいと感じている。 それだけは断言できる。 私は彼が作ったチョコの一つを口に運んだ。 それは上品な甘さのミルクチョコレート。 どことなく彼らしい味だ。不思議とそんなことを感じた。 それを食べ終えた私は、自分の机の引き出しを開け、そこに入っていた一つの小箱を取り出した。 それは青い包装紙に包まれた、愛する彼への贈り物。 まだ昼休みが終わるまでには時間がある。 私はさっそく行動することに決めた。 私の返事と想いと贈り物と少々の憎まれ口を彼に叩きつけるために。 私をあれだけ悩ませたのだ。もっと男らしく告白しろ、の一言ぐらい言っても罰は当たるまい。 私は白い小箱にふたをして、椅子から立ち上がり、上機嫌で自分の部屋を後にした。 その右手に、青い小箱を持って。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 77 俺は咲夜さんを探して図書館まで足を運んでいた。 「なぁ、パチュリー咲夜さんどこにいるか知らないか?」 「咲夜だったら今ここにきているわ。なにか用なの?」 「ああ、ちょっと探し物をしていて見つからないから探すのを手伝ってもらおうと思ってな」 「そう。あ、ちょうど今戻ってきたわよ」 そう言われて視線を向けるとこちらに向かってきている咲夜さんが見えたので声をかけた。 「あ、お母さん」 どんがらがっしゃーん 凄まじい音を立てて咲夜さんがすっころんだ。と一瞬で俺の首筋にナイフをあてて笑っている咲夜さんがいた。 うわぁい、すごくいい笑顔なのにマジデコロスって殺気がビンビン伝わってきます。正直たまりません(恐ろしくて) 「うふふふふ、おもしろいこと言ってくれるわね○○? もう一度言ってくれるかしら?」 「いや、ちょっと間違えただけですって。良くあるでしょ? 上司や先生を間違えてそう呼んじゃうこと? ね?ね?」 「へぇ、つまり○○は私のことオバサンっていいたいことかしら?」 あぁ、何を言っても悪いほうにしかとってくれない…… 「パ、パチュリーたすけて……」 しかしパチュリーは顔を本で隠してプルプル震えていた。ダメだこりゃ。 「ぷっ、あははははっ。だ、だめ、ツボにはいった。さ、咲夜がお母さんって、あははははっ」 「ちょっ、パチュリー様までなにいってるんですかっ!?」 「でも、咲夜ってたしかにお母さんって感じはするわね。メイド長って肩書きがなければ○○が言ったこともあながち間違いじゃないわね」 「い、いやでもっ」 よし、パチュリーの相手に夢中になって俺の方に注意が薄れた! チャンスは今しかないっ! 「隙ありっ!」 俺は手を伸ばして咲夜さんの胸を鷲づかみにした。 「やあんっ!?」 急に胸をつかまれてひるんだ咲夜さんの脇をすり抜けて一気に逃げ去ろうとした。 「ちょっと! ○○待ちなさい!」 「嫌でーす! 今度捕まったら何されるかわかりませんからー! あと今日はP○D入れてなかったんですねー、おっぱいすごくやわらかかったでーす!」 「ほう……いい度胸ね……いいわ私も本気でいかせてもらおうかしら……」 咲夜さんがスペルカードを取り出そうとしているのを見て俺は更にスピードを上げて逃げ出した。 その後ス○ーク並みのスニーキングを行ったが結局見つかってしまい、今は縄で縛られた状態で椅子に座らされて頭にはリンゴが載せられている。 「はぁ、まったく手間をかけさせてくれたわね」 「すみません。反省してますのでこの縄解いてください」 「だめよ。まだ私の気が済んでないもの」 いきなりナイフを投げてくる咲夜さん。それがリンゴの横スレスレに投げてくるのが恐ろしい。 「それにあのあと大変なことになったんだから」 そう言って咲夜さんは語り始めた―― ○○を見失って私はしばらく屋敷中を探して歩いたが○○の姿形も見当たらなかった。逃げ足だけは本当に速いのだから。 途中でメイドからお嬢様が紅茶を持ってきて欲しいと伝言を頼まれたと聞き、一時捜索を中断してお嬢様に紅茶を持っていった。 「お嬢様。紅茶をお持ちいたしました」 いつものようにお嬢様から労いの言葉がかけられるはずだった。 「ん、ありがとう。お母さん」 ぎごんっ ありえない音を立てて私は頭からすっころんだ。 「おおお、お嬢様?」 「パチェから聞いたわよ? あなた○○にお母さんって言われたそうね?」 「あ、あれは言い間違いだって本人も認めていますっ」 「けれどいいえて妙ね。たしかにメイド長もお母さんも本質的には近いのかもね。今度から完全で瀟洒なお母さんって名乗ってみれば?」 「お嬢様? いい加減ふざけるのはやめてもらえませんか?」 「あら? ふざけてる気はないんだけど? その証拠にほら」 「あー、お母さんだー」 その声に振り向くとフラン様が私を指差してそう呼んでいた。 「あ、あのフラン様? なぜ私をお母さんと?」 「え? お姉様がそう呼べって言ってたからだけど」 「ふふ、そういうこと。これからはみんながあなたのことをお母さんって呼ぶようにしたから。ほんと○○が来てから退屈しないですむわぁ」 私は目の前が真っ暗になったような気がしてがっくりと膝をついた…… 「それから会う人会う人にお母さんって呼ばれてついにはあの白黒にまで言われたわ。でも中国がお母さんって言ってきたときはハリネズミにしてやったけど」 うわぁ、めーりんヒサン。しかも話しながらナイフを寸分違わず投げてくるのはやっぱりスゴイ。主に俺の顔面脇スレスレに。 「それでもね、みんなからそう言われてきてお母さんも悪くないかなって思ってきたのよ。ただしお父さんは○○じゃないとダメだけれど」 やわらかく微笑む咲夜さん。俺はおもわず見とれてしまった。 「でも、お母さんって呼ばれるには子供がいないとだめなのよね」 いきなり俺を持ち上げるとベットまで運んでいって縄を解き始めた。 「え? え? 咲夜さんちょっと?」 「一姫二太郎って言葉もあるし始めの子は女の子がいいわね。それじゃがんばりましょう、お父さん」 そのまま俺にキスをした咲夜さんはしゅるりと胸のリボンをほどいて俺に覆いかぶさってきた―― (省略されました。続きが見たい方は紅魔館でPAD長と叫んだ後一日咲夜さんから逃げ切ってください) ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 165 「〇〇・・・また解雇されたわ・・・これで五軒目よ・・・」 帰ってくるなり咲夜は玄関でがっくりとうなだれる。 …あそこをクビになるのはそんなに屈辱なのだろうか? 「・・・あぁ、まあ、次があるさ。 就職先が見つかるまで家に居ていいからさ」 「ええ・・・ごめんなさいね・・・家事位しか出来なくて・・・」 なんて言いながらも一瞬の内に台所へ移動し、 冷蔵庫の中身で夕餉の支度を始める。 「うん、こちらこそいつもありがとうね」 「ところで咲夜さん、」 「どうしたの?」 ふぅ、深くため息をついた咲夜さんに聞いてみる。 …結構無理そうなのに、 「何であの職にこだわるの?」 「・・・だって、幻想郷に帰った時に腕が鈍ってたら、お嬢様に申し訳ないわ」 「・・・多分咲夜さんは向いてないよ、あれ」 「む・・・私は完璧で瀟洒に仕事をしてるつもりだけど?」 いや、多分それが問題だよ。 「うーん・・・じゃあさ」 …言って、みるかな。 「こ、ここでメイドとして住み込みで働くのは駄目なの?」 そうすれば一緒にいれるし、 働いているって面子も・・・ 「勿論無理ね」 あらあ・・・orz 「好きな人から搾取するのは趣味に会わないわ」 そう言って、咲夜さんは微笑んだ。 「って、何も解決してない気がする・・・」 「あら、ロマンが足りないわね。 ・・・それに、メイドだったらこんな事も出来ないじゃない?」 ぎゅ 咲夜さんはメイド喫茶で働いてもなんか上手くいかない気がするぜ。 完璧過ぎてry ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1050 十六夜咲夜は瀟洒にして従順な悪魔の狗である。 故に主の指示は絶対。何においても優先されるべき事項であらねばならない。 だから、 「咲夜。貴方は少し時間操作に頼りすぎるキライがあるわ。それでは現状からの脱却は図れない。成長なんてあるはずもない。なので当分の間使用禁止ね。いいって言うまで時間止めちゃ駄目だから」 等という無体極まりない事を言われたとしても遵守せねばならないのだ。 それ絶対今思いつきましたよね。なんて思ってても口に出さず、ただ一言、了承の意を表す。 現状からの脱却、新たなステージへの扉。結構ではないか。 お望みとあらば如何なる私にでも成りえましょう。この身は常に、髪一本から血液に至るまで貴方だけの物なのだから。 「あ、当然だけど職務上の失態にはペナルティーを課すから。とりあえずワンミスにつきスカート膝丈マイナス1cmね」 「……ハイ」 うるさい。泣いてなんかない。 「場合が場合だし否も応も言ってられないわ。不本意ではあるけど私の手が回らない分はサポートをお願い」 「期待してたわけじゃないですけど、わざわざ呼び出されて上にそこまで言われたんじゃ流石に凹みます」 能力を制限しての職務遂行に不安を感じた私は、まず補佐をつける事を考えた。 美鈴は(仮にも)門番なので持ち場を離れさせるわけにはいかないし、小悪魔も立場上、パチュリー様の傍を離れるわけにはいかないだろう。妖精メイドでは、とてもではないが任が務まるとは思えない。 そこで白羽の矢が立ったのは、先日湖畔で行き倒れていた所をお嬢様の気まぐれで拾われた○○という男。 捨ててきなさいと主張する私やパチュリー様に対してお嬢様はしたり顔で「これも運命よ」等とのたまったものだが、そんなノリで近い将来紅魔館が浮浪者だらけにならないか、密かに胸を痛める日々である。 さりとて、○○も全くのゴクツブシというわけでもないようだった。 労働力の足しにでもしてくれと言う彼にとりあえず仕事を与えてみたのだが、これが存外に覚えも早くその仕事ぶりもなかなか配慮が行き届いたものだったので、これには正直驚かされた。 現に今も不満を口にしながらも呼び出しに素直に応じる辺り、職業意識も悪くない。 だというのに、ただ一つ、どうしてもこの男に素直な評価を下せない理由がある。 「しかし能力制限とはまた思い切った事を始めたもんですね」 あたかも自分が難題を仰せつかったかのように、難儀そうに言う○○。 「だからといって完成度の低い仕事をするつもりはないわ。無論手を抜くつもりもね」 「立派ですけどあまり無茶はしないで下さいよ」 そう言って今度は苦笑交じりにこちらを気遣ってくる。こういう所は素直に好感がもてる。 そこでふと、○○は何かに気付いたかのように真剣な顔で考え込み始めた。 時折こぼれる「そうか、普通の人と……」という呟きが、何やら不穏な気配を感じさせてやまない。 「あの、○○?」 放って置くべきかとも思ったが、異様な雰囲気にのまれてつい声をかけてしまう。 そしてそれはすぐに失敗だったと後悔する破目になった。 名前を呼ばれた○○は俯き加減だった顔をガバッと上げて、妙な決意を宿した眼をこちらに向けて一息にまくし立てた。 「つまり今の咲夜さんは普通の婦女子となんら変わらんわけですね!? 今なら勢いに任せて強引なイチャイチャ展開も可だと!」 「ちょっと落ち着きなさい。○○」 「大丈夫。心配はいりません。腐ってもこの○○、紳士です。普段と違う状況下で内心小動物のように震えているであろう貴方の心ごとエスコートして差し上げます」 「妄想なら自分の部屋でやってもらえるかしら」 「っていうか正直、辛抱たまりません。咲夜さん愛してr」 いい加減うんざりしてきたので、取り出したナイフで頬をペチペチ叩いてやると○○はおとなしくなった。 「さっき言ったわよね?『手を抜くつもりはない』って。部下の躾も然りよ。オワカリ?」 「・・・いえす、まむ」 「よくできました。それじゃ別命あるまで待機。以上」 「ラジャー」と力無く答えてトボトボと去っていく○○。 本当に、ああいう所さえなければ評価してあげてもいいのだけど。 「○○」 「なんすか」 「後で買い出しにいくから里まで付き合いなさい。荷物持ちよ」 俄かに○○の顔が喜色に染まっていく。 「デートですか!」 「だから荷物持ちだって……あぁ、もう如何とでも取ればいいわ」 なんにせよ、こんな事で子供みたいにはしゃぐ○○を見ていると、こう思わなくも無い。 当分はこのままでも良いかもしれない。と。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1058 ガシャーン けたたましい音と共に調度品がコナゴナになった。 「ああ、また……」 「咲夜さん、大丈夫ですか?」 「いえ、さすがにこれほどコナゴナになってると直すのは無理ね……」 「いや、俺が言っているのは咲夜さんの方ですが」 「私のことはいいから、ほらホウキとチリトリ持ってきて」 「はい」 言われた通りにホウキとチリトリを持ってきて粉砕された壷を二人で掃除しながら俺は咲夜さんを見ていた。 今日の彼女はどこかおかしい。さっきみたいな普段しないようなミスをしたりボーッとして話しかけても上の空だったりしている。 紅茶に間違えてトカゲの血を入れてお嬢様が噴出した時は笑いを堪えるのが大変だったが。 「本当に平気ですか?」 「……え、ごめんなさい。聞いてなかったわ。それでなに?」 「咲夜さん、やっぱり休んだほうがいいですよ」 「そうもいかないでしょ、私が休んだら誰が紅魔館の仕事を行うの?」 「それはそうですが……」 「ムダ口はそれ位にして、これを捨ててきてちょうだい」 渡されたゴミを持ってゴミ捨て場に向かおうとしたら、背後でパタリと何かが倒れる音がした。 慌てて振り返るとそこにはうつ伏せになっている咲夜さんがいた。 「あ、あれ? おかしいわね、なんで急に」 無理に体を起こそうとするが腕に力が入らないのか、また倒れこんでしまう。 「ほら、やっぱり無茶してたんじゃないですか」 「な、何言ってるのよ。これは転んだだけよ、すぐ立ち上がるからあなたは別の仕事をしてなさい」 そう言って三度起き上がろうとするが、その姿はまるで病人が無理をしている風にしか見えない。 「咲夜さん、失礼します」 「きゃっ!?」 彼女の背と膝の下に手を入れて抱きかかえるようにして立ち上がる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 「ちょ、○○! 下ろしなさい!」 「だめです。このまま部屋まで連れて行きます。で、場所は何処でしたっけ?」 じたばたと暴れていた咲夜さんだったが、逃げられないことを悟るとしゅんとして大人しくしてくれた。 「……そこを右に曲がって突き当たりの部屋が私の部屋よ」 「わかりました」 部屋のドアを開けて中に入り、ベットに咲夜さんを寝かせる。ここまでほんの少しの時間しか経ってないのに彼女は気を失っていた。 布団をかけて俺は永遠亭に足を運んだ。 「疲労ね。しかも疲れがとれてない状態でかなり無茶をしているわね。今日は一日休養を取らせなさい」 「わかった。ありがとう永琳」 永琳を見送ったあと部屋に入ると咲夜さんはベットから起き上がろうとしていたので慌ててベットに寝かす。 「と、とめないでちょうだい、まだ仕事が残ってるんだから……」 「駄目ですってば。今日一日はゆっくりしていなくちゃいけないって言われたばかりでしょう?」 「で、でも掃除が……」 「それは小悪魔とメイド妖精がやってくれてます」 「せ、洗濯もまだ……」 「美鈴が今干してます」 「う……それじゃあ料理にお嬢様のお世話は……」 「料理はパチュリー様が、お嬢様は自分でできることは自分でしてわからないことは明日聞くそうです。 あとお嬢様の言付けで、「咲夜にそんなに負担をかけていたなんて主失格ね。今日は一日休むこと。これは命令よ」とのことです」 「……わかったわ。で、あなたは何をするの?」 「咲夜さんの監視だそうです。放っておくと何かしら始めるだろうからそれを食い止めなさいって。実際起き上がろうとしてましたし」 「い、痛いとこ突いてくるわね……。わかった、今日は休養を取らせてもらうわ」 ようやく落ち着いて休みを取ってくれることになり、ほっと一安心だ。 が、何故か顔を赤くしてこちらをチラチラと見てくる。何だろう、何か言いたいことでもあるのだろうか? 「あ、あの○○……着替えたいのだけれど」 「あ、そ、そうですね、俺がここにいたら着替えられませんよね。じゃ外にいますので着替え終わりましたら声をかけてください」 ギクシャクとした動きで部屋の外に行き、声がかかるまで待つ。あー顔が熱い。 しばらくして、もういいわよと言われたので中に入ると部屋着に着替えた咲夜さんがベットに寝ていた。 「……こうして二人きりになるのは久しぶりね」 「そうですね、会ったとしても会話はほぼ仕事のことばかりでしたからね」 「ねぇ、何か話して」 「話っていってもこれといって面白いことはないですよ」 「それでもいいわ」 「ええそれじゃあこの間神社であったことなんですけど……」 ――少女、青年談笑中―― 「で、結局魔理沙が一番被害を被ったわけで」 「まあ、自業自得というやつね」 と、ドアをノックする音が聞こえたので開けるとそこには茶器を持った美鈴がいた。 「お見舞いにきちゃいました。大丈夫ですか? 咲夜さん」 「あんまり良くはないわね。ところでそれは何?」 「ふふふ、これは特製の漢方茶です。これさえ飲めばたちどころに疲れなんか吹き飛びますよ!」 「……美鈴、あんまり言いたくないけどそれ高麗人参とかガラナやにんにくなんて入れてないよね?」 「失礼ですね○○さん。普通のお茶ですよ。ささ、冷めないうちに飲みましょう」 テキパキとお茶の準備をする美鈴。普段は門番としての姿しか見ていないので手際のよさに驚いた。 それは咲夜さんも同じようだった。 そして彼女の淹れてくれたお茶を飲んでみる。ふむ、甘い香りが鼻を通り抜けお腹の中からぽかぽかと暖めてくれる。すごくおいしい。 けれどもこのお茶、めちゃくちゃ眠気を誘う。なんでもない俺が眠気を耐えるのが精一杯なほどだ。 咲夜さんの様子を覗うとうつらうつらとして心ここにあらずという状態だ。 「……○○さん、どうやら効いてきたみたいですね」 「美鈴いったい何したのさ」 「このお茶元々リラックス効果が高いんですが、寝つきを良くする茶葉を多めに入れてみたんですがどうやら成功したみたいですね」 「なるほど、その薬草の力で眠らせてしまおうってことだったのか」 お茶を飲み終えると美鈴は茶器を片付けると部屋を出て行ったがドアから顔を出してこっちを見ていたので 何かまだあるのかと思っていたらニヤニヤと笑いながら俺に話しかけてきた。 「○○さ~ん、いくら咲夜さんがぼ~っとしてるからってネチョいことしちゃダメですよ~」 「ばっ、誰がそんなことするかっ!!」 「きゃ~怒られた~」 まったくいつも一言多いんだからな美鈴は。 俺はベットの側に行き、咲夜さんに話しかけた。 「咲夜さん眠そうだから、俺はこれで失礼します。何かして欲しいことありますか?」 「えっと……それじゃあ」 布団で顔を半分隠して上目遣いでこう言った。 「……お休みのキスをちょうだい」 「ああ、お休みのキスですね。わかりました……ってええっ!?」 うう、急にそんなことを言われるとは思わなかった。 だっていつもは完全で瀟洒なあの咲夜さんが今は普通の女の子になっているんだぜ!? そしてさっきから軽く目をつぶっていつでもどうぞっていわんばかりの姿だし。 しかし、ここで期待に応えなければ男じゃない! 俺はおずおずと彼女に覆いかぶさり 「い、いきます」 「ん――」 彼女と唇をそっと合わせた。 「――これでいいですか?」 「うん、元気も貰ったし明日にはいつも通りになると思うわ」 「それはよかった」 「本当なら続きもしてあげたいんだけれどこんな状態じゃあね。だから元気になるまでお預け。 そうしたらキスもその先もいっぱいいっぱいしてあげるから」 「あ、あぅぅ……」 「あら、赤くなっちゃってかわいい。あふ……それじゃおやすみなさい」 すぅ、と咲夜さんの吐息が落ち着く。眠ってしまったようだ。 俺はドアと開けると咲夜さんを振り返って最後にこう告げた。 「お疲れ様です。メイド長」 静かにドアを閉めると部屋を後にした。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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読み メイリン 正式名称 紅美鈴(ホンメイリン) 別名 中国 和了り飜 1飜 牌例 状況役なので牌姿を問わない。 解説 二索でロンすると成立。 東方Projectの二次創作において美鈴は咲夜にナイフを投げられる事がよくある事と、二索をナイフに見立てたもの。 成分分析 美鈴の47%は雪の結晶で出来ています。美鈴の28%はミスリルで出来ています。美鈴の23%は蛇の抜け殻で出来ています。美鈴の1%は野望で出来ています。美鈴の1%は毒電波で出来ています。 下位役 上位役 複合の制限 採用状況